1985年9月2日に大阪府立臨海スポーツセンターで行われたスーパー・タイガー(佐山サトル)vs前田日明は、不可解な前田の反則負けとなった。DVD「The Memory of 1st U.W.F. vol.10 U.W.F.メモリアル」(5000円+税、クエスト)でこの試合を見ることができるが、当時は、東京・後楽園ホールをのぞいては、照明設備が整っておらず、薄暗いリングだった。9月11日のタイガーVS前田は特に悲しい試合に映った。
第2回UWF公式リーグ戦は、9月11日に後楽園ホールで最終戦を迎えた。全勝同士のメインイベント、藤原喜明vsタイガーの映像は、DVD「The Memory of 1st U.W.F. vol.9 U.W.F.ラストマッチ」(同)に収録されている。
藤原は、両手で佐山の髪をつかんで反則となるヘッドバットを見舞うが、流れの中で、これが反則にはならなかった。最後は19分31秒、脇固めで藤原が勝利した。優勝盾を手にした藤原は、欠場した前田に「前田、逃げるな。これを力で取ってみい」とマイクアピールで次につなげようとしたが、これが第1次UWFのエンディングシーンとなった。
第1次UWFは、興行の不振にスポンサーの不祥事が重なり、年末を待たずして解散した。「年末のトータル・ポイント数で年俸決定」「年末トップ者が、前年の実力No.1タイトルホルダーとリアル・チャンピオンを競う」などという理想はかなわずじまいだった。
総合格闘技という新しいプロレスを作るという同じ夢に向かって進んだUWFだが、理想の高い佐山と、現実的な団体経営を求める前田の対立が鮮明だった。
その年末に藤原、前田、木戸、高田、山崎は古巣の新日本プロレスにUターンすることになる。佐山タイガーはシューティングの追究を続けた。(酒井 隆之)=第1次UWF編は終わり、敬称略=