沖縄・宮古島で自主トレ中の巨人・菅野智之投手(32)が30日、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。今季は前半戦に離脱があり19登板で6勝7敗、防御率3・19。後半戦は中4日・中5日ローテでフル回転し、ラスト7登板で防御率1・99と意地を見せたが、チームも3位に終わり悔しい1年に終わった。来季に向け20日に現地入りして鍛錬するエースは今、何を思うのか。その胸中を聞いた。(取材・構成=片岡 優帆)
―コロナ禍で例年のハワイでなく国内の宮古島で初の自主トレ。温暖な地で中川、鍬原と練習している。キャッチボールでは「2割の力」と言いながら力感のないフォームから伸びのある力強い球を投げている。
「いろんな人の力を借りながら順調にできています。自主トレは1月から2週間くらいやるのではなく、1か月みっちりやらないとなかなか変化できない。そのためにも12月が大事だと思いながらやっています」
―昨オフはメジャー球団との交渉で渡米、隔離もあり自主トレできなかった。
「貯金がなかったので限界がありました。精神的にも肉体的にもこの1年は正直きつかったですね」
―調整不足から右肘を痛め、前半戦にコンディション不良で4度の登録抹消。
「万全じゃないのにオープン戦は1点も取られなかった。何でこれで抑えられるんだろうと。開幕からずっと『?』マークを抱えながら投げている感じでした」
―野球人生で理想と現実のギャップがこれほど大きかった経験はなかった。
「初めてですね。行き場のない怒りというか、こんなはずじゃない、何でこうなっちゃってるのかな、どうしたらいいんだろうと常に思っていました」
―今年はオフのメジャー再挑戦の可能性を“公言”して臨んだ1年だった。
「その中で気持ちも体も追いついてこなくて苦しかった。でもそれは言い訳になるし、自分自身の決断でそうなったので。そういうものとは自分の中でもう決着をつけて、今は来年ジャイアンツが日本一になることだけを頭に置いて前を向いています」
―来季で33歳。まだまだ伸びしろを感じている。
「今年の話を美化したくはないですけど、強くなるチャンスと受け止めています。まだまだ肉体的にはいけると思うし、メジャーリーグではシャーザーのように30代後半でバリバリ投げている投手がいる。同じ人間なんだから、できないはずがないと思っています」
―来季の目標には200イニング、最多勝、最優秀防御率を掲げた。
「監督も登板間隔を詰めると言っていますし、登板数も増えると思う。先発で30登板すれば平均7イニングで210回いける。年々野球が変化していく中で、今の時代に200イニングはすごいこと。だからこそ目標にしていきたい」
―宮古島では砂浜はだしランニングを毎日実施。ビーチは日替わりで、波打ち際から山の頂上まで急勾配の白砂の坂を駆け上がるという超ハードな日もある。
「目的は足先、末端をしっかり使えるようにすること。(今まで)ある程度のトレーニングはやってきたつもりですし、あと何年現役を続けられるか分からないですけど、最後にフォーカスするとしたらそういう細かい部分なのかなと」
―ウェートトレ、フィジカルトレでは重い重りを使わず、全てのメニューの動きを投球動作につなげる意識で取り組んでいる。
「コンディションを整えて体の使い方や柔軟性の課題を克服できれば、間違いなく成績は良くなる。そこは確信がありますね」
―来年への漢字一文字は「頂」と色紙に記した。
「表彰が何もなくNPBアワードに行けなかったのは9年目で3度目。オフシーズンが暇なのはやっぱり寂しいですよ。ここ数年は『僕だけが頑張っても優勝できない。僕以外の投手が…』と言ってきましたが、僕や勇人さん、丸が圧倒的な成績を残せば必ずいい方向に行く。自分で自分のケツを叩きながら、来年は自分がしっかりした成績を残すことが大前提です」
チーム宮古島は大みそかも普段通り練習予定。年末年始は関係ない。菅野は「頂」を見据えて南の島で野球に打ち込んでいる。
◆マックス・シャーザーとは 37歳ながら12月にメッツと3年総額1億3000万ドル(約150億円)で契約。右投げのスリークオーターから最速160キロのフォーシーム、スライダー、チェンジアップなど球種は豊富。今季はシーズン途中にナショナルズからドジャースに移籍し、計15勝4敗。通算190勝97敗、[防]3.16。サイ・ヤング賞は3度。