東京六大学、東都大学両リーグの4年生の進路がほぼ出そろった。秀岳館(熊本)時代に高校ジャパンでも活躍した立大の148キロ左腕・川端健斗は、フォームを崩して2年秋を最後にリーグ戦登板から遠ざかり、プロ志望届提出も指名漏れ。今秋リーグ戦終了後には左肘のトミー・ジョン手術を受け、23年春の社会人球界入りを狙う。
かつて清宮らと日の丸を背負った男が、激動の4年間を過ごした。川端は1年春からリーグ戦で2勝を挙げながら、3年春以降は登板なし。フォームを崩し、本来の投球を見失っていたのだ。「しんどかった、のひと言ですね。歯車が1つ狂っただけでこんなことになるなんて…」と大学生活を振り返った。
ささいなことがきっかけだった。1年秋のリーグ戦後、テイクバックで背中方向に入りすぎていた左腕を微調整したところ「いろいろと試していくうちに、自分のフォームを思い出せなくなってしまった」。制球はバラつき、球速も130キロ台に落ちた。「ミットに届くまでの時間が長すぎて、これがホンマに自分のボールなのかって思いました」
3年になり、左肘痛を発症。神宮のマウンドは遠のき、3軍にあたるCチームに落ちることもあった。最終学年を迎えると左肘の状態は悪化。「進路のことがあるのでアピールしないといけない。かなり無理して投げてました」。育成でも、とかすかな望みをかけてプロ志望届を提出も、名前が呼ばれることはなかった。
その後、能力の高さを評価する関東の社会人強豪チームから練習参加のオファーが届いた。進路の道が開けたかに思えたが、メディカルチェックの結果、左肘はトミー・ジョン手術が必要な状態であることが判明。採用は見送られ、11月18日にメスを入れた。
今後は大学に残ってリハビリとトレーニングを重ね、来秋の投球再開を目指す。社会人強豪チームも回復具合を注視している。もちろん、プロ入りの夢も諦めていない。「もっとできる、という自分への期待感がありますから」。不屈の左腕が、どん底からはい上がってみせる。(片岡 泰彦)
◆川端 健斗(かわばた・けんと)2000年1月26日、京都・木津川市生まれ。21歳。秀岳館では2年春から4季連続で甲子園に出場し、3年春まで3季連続4強入り。3年夏には高校ジャパン入りし、U―18W杯(カナダ)で3位。立大ではリーグ戦通算15登板で3勝2敗、防御率2.29。球種はカーブ、カットボール、チェンジアップ。175センチ、75キロ。左投左打。