村上右磨、男子500メートルラスト1枠滑り込み初五輪!遅咲き29歳「年齢は関係ない」

スポーツ報知
男子500メートルで3位の村上(カメラ・矢口 亨)

◆スピードスケート 北京五輪代表選考会 第1日(29日、長野市エムウェーブ)

 男子500メートルが行われ、村上右磨(29)=高堂建設=が34秒66で3位に入り、残り1枠の代表入りを確実にした。内定組の森重航(21)=専大=が34秒50で1位、新浜立也(25)=高崎健康福祉大職=が34秒52で2位。女子は高木美帆(27)=日体大職=が3000メートルで国内最高の3分59秒81、500メートルは37秒58で1位となり、計4種目で代表入りの権利を獲得。団体追い抜きも追加獲得が見込まれ、1988年カルガリー大会の橋本聖子に並ぶ1大会5種目切符が見えた。代表は31日に発表。

 村上が「第3の男」に滑り込んだ。最終組の1つ前のレース。34秒66で終えると「きわどいライン。祈るだけだった」。今季W杯1勝の松井の結果を待ち、代表を確実にしていた森重、新浜に次ぐ3位が確定。残り1枠を巡るハイレベルな争いを制し「正直内容は良くなかったけど、代表権を取ることが一番重要だった。すごいうれしく思います」と安どの笑みが広がった。

 遅咲きの29歳だ。競技に人生を懸け、大学を3年で中退。実家の電気保守管理業を手伝いながら、父と練習を重ねた。4年前も国内トップを争う位置にいたが、夏場の負傷が影響し、選考会7位で平昌五輪を逃した。

 今回も苦難があった。11月の練習中に転倒。肩甲骨と左腕を計7針を縫った。W杯は第3戦までライバルの新浜、森重、松井が次々と優勝し、「4年前と同じように自分を出し切れずに終わるのかな」と夜も眠れないほど焦った。それでも、第4戦は自身初の33秒台で2レース連続の表彰台。復調の兆しをつかみ、選考会に乗り込んだ。

 表彰式の前、残り1枠を争った松井に「おめでとう」と祝福され、「彼の分も頑張らなきゃいけない」と奮い立った。過去2大会はメダルを逃した男子500メートルだが、北京五輪は3人全員がメダルを狙える33秒台の自己ベストを持つ“史上最速トリオ”。「遅咲きと言われてきたけど、レースになれば年齢は関係ない。ベストレースをすればいい結果につながる」。世界屈指の代表争いを勝ち抜いた自信を胸にお家芸の復権に挑む。(林 直史)

 ◆村上 右磨(むらかみ・ゆうま)1992年12月12日、北海道・帯広市生まれ。29歳。3歳でスケートを始め、緑園中、帯広工高を卒業後、北翔大に進学も中退した。父が経営する村上電気管理事務所に勤務しながら活動。2019年夏に「アスナビ」で高堂建設に入社。500メートルで16年全日本距離別選手権優勝。19年W杯長野大会優勝。趣味は旅行、猫と遊ぶ。177センチ、77キロ。

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