【2021年レース回顧】岡田繁幸総帥の情熱の結晶、ユーバーレーベン Mデムーロ騎手「勝って(岡田総帥を)思い出した」

スポーツ報知
岡田繁幸さんに贈るオークス制覇を成し遂げたユーバーレーベンとMデムーロ

◆オークス・G1(5月23日、東京・芝2400メートル、18頭立て=良)

 ユーバーレーベン(牝3歳、美浦・手塚貴久厩舎、父ゴールドシップ)のゴール後、ミルコ・デムーロ騎手が、指差し見上げた五月晴れの空にあの人の面影を追った。鞍上も「勝って思い出した」と振り返ったその人は、今年3月に天国に旅立った岡田繁幸さんだ。

 同馬は岡田さんが創設したクラブ法人、サラブレッドクラブ・ラフィアンの所有馬で、母の父のロージズインメイ、父のゴールドシップも岡田さんが導入した種牡馬だ。

 レースは、中団待機から3、4角で抜群の手応えで上がって行く。外に持ち出した直線は、ぐいぐい伸びて残り約200メートルで白毛のソダシをかわすと、先頭に踊り出てそのまま押し切り、クラブ初のクラシック制覇という悲願をついに成し遂げた。

 関係者のみならず、競馬に携わったことがある者なら1度は岡田さんの思いに触れたことがあるだろう。あれは、2008年のシンガポール航空国際C。日本から新聞記者で現地に取材に足を運んだのは私だけ。レースの翌日、早朝のホテルに呼ばれ、話を聞いた。出走したコスモバルク(6着)の今後についてはもちろん、馬の見方やその先の夢にまで話が及んだ。時間にしたら約30分くらいだっただろうか。それでも、1時間にも2時間にも感じられる濃密な時間だった。

 「ダービーを取りたいんだ。どうしたら、そこに届くか。君はどう思う」。旺盛な探究心に年齢も立場も関係ない。1人の人間として対峙してくれた。取材中、気を抜くとその熱に負けてしまうほどのほとばしる言葉の数々。情熱を傾けて生きていくことのすごみを教えられた。

 あれから、13年が経ち、記者はアラフィフになった。情熱を持って今に向かっているのか? ユーバーレーベンが駆け抜けたゴールを見つめながら、自分の心に改めて問うた。原点を思い出す、そんな1戦だった。(松末 守司)

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