2021年10月17日の西宮S(阪神・芝1800メートル、3勝クラス)。強烈な末脚で観客を沸かせたのが、ジェラルディーナ(牝4歳、栗東・斉藤崇史厩舎、父モーリス)だ。序盤は後方で待機し、じっくり脚をためた。直線で大外に進路を移すと、豪快にスパート。圧倒的なスピードで次々と前をかわし、2着に1馬身3/4差をつけて完勝した。
母は12年の牝馬3冠など、G1で7勝を挙げたジェンティルドンナ。両親合わせてG1・13勝という超良血のもと生まれた。しかしジェラルディーナは同日の秋華賞で除外となり、出走がかなわず。さらに偶然にも、秋華賞を勝ったのは同じ3冠牝馬のアパパネの娘、アカイトリノムスメ(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎、父ディープインパクト)だった。思わず、「もしジェラルディーナも秋華賞に出られていたら…」と想像してしまった。
ジェラルディーナは牝馬3冠レースに縁がなかったが、素質は確かだ。福永祐一騎手はチャレンジC(西宮Sの次走=4着)の前に、「どんな競馬でもできるようになっている。重賞でも全然やれるよ。来年(22年)は主役張るわ」と能力を高く評価していた。今年はさらに大きく飛躍し、偉大な両親を超える活躍を見せるはずだ。(水納 愛美)