【有馬記念】女傑・クロノジェネシスと過ごした3年半 調教に携わってきた団野大成騎手の思い

スポーツ報知
有馬記念に向け、クロノジェネシスの追い切りに騎乗する団野

 感謝の気持ちを乗せるように、しっかりと手綱を押した。有馬記念で史上初のグランプリ4連覇、そして有終Vを狙うクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎、父バゴ)が滋賀・栗東トレーニングセンターで12月22日に行った最終追い切り。その馬上にいたのは斉藤崇厩舎に所属する団野大成騎手だった。

 クロノジェネシスの過去のレース当週の最終追い切りには、主戦で、現在骨折でリハビリ中の北村友一騎手がほぼ騎乗。団野はラストランで大役を初めて託された。しかもこの中間は3週連続で追い切りに騎乗。無事に追い切りを終えると、「普段は乗る前に緊張することもあるんですが、今回は妙に落ち着いていました。ただ(追い切りが)終わった後に『ああ、今日で乗るのは最後なんだな』という気持ちになりましたね」と振り返った。安どと同時に、寂しさのような感情が自然と込み上げてきたのだ。

 出会いは強烈だった。競馬学校生だった2018年夏。自らが騎乗したゲート試験に合格した後、坂路での初めてのキャンター調整だった。手綱から今までに全く経験したことのないパワーが伝わってきたという。「それまでに乗った馬より、行きっぷりがすごかった。(担当の)和田さんに『この馬キツいです』と伝えたのを覚えています。ただ、当時はそれがいい馬なんだなという感覚まではなかったんです。子供っぽい中にも自分で走りたいという思いを強く感じました。今となれば、あれが走る馬の特徴なんだなと思います」と、懐かしそうに回顧する。

 名馬とともに一歩ずつ階段を上がってきた。団野は翌年にデビューし、2年目の昨年は62勝と大きく飛躍。今年は重賞初制覇を果たし、通算100勝を軽々と通過するなど順調にキャリアを重ねてきた。デビューから約2年8か月。G1・4勝で日本競馬界が誇る女傑にまで上り詰めたクロノジェネシスは常にそばにいた。

 「乗っていても、どんどん背中が良くなっていくのを感じましたし、いいキャンターになってきたと思います。推進力があるので、持っていかれないように集中していないといけませんね。パワーもスタミナもあるので、追い切り後でもケロッとしているんですよね」。今年9月から出向いた英国での修行も、クロノの凱旋門賞出走がきっかけ。世界への挑戦を現地で見届けたのもいい思い出だ。

 出会いから約3年半。有馬記念当日は阪神競馬場で騎乗し、ラストランや引退式は画面越しに見守ることになる。「個人的にも本当にいい経験をさせてもらいました。学校生時代にクロノの背中を感じたのは大きな財産になっていますし、本当に感謝の気持ちしかないです。最後なので無事に頑張ってほしいと思っています」と優しい視線でエールを送った団野。成長した姿を届けることが何よりの恩返しになる。(山本 武志)

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