【新春野球記者コラム】ヤクルト村上宗隆と奥川恭伸に見た「一流の思考」とそれぞれの違い

村上宗隆(左)と奥川恭伸
村上宗隆(左)と奥川恭伸

 一流のアスリートの言葉には、人の心を打つ力がある。昨季はヤクルトを担当し、6年ぶりのリーグV&20年ぶりの日本一を取材させてもらう中でも、そう感じる機会があった。個人的に昨シーズンのMVPを選ぶなら、村上宗隆内野手を推したい。全143試合に「4番・三塁」で出場し、打率2割7分8厘、39本塁打、112打点。初の本塁打王とリーグMVPを獲得した。多くの人が納得の受賞だったと思う。

 シーズン中から、村上の言葉力には心を動かされることが多かった。2年連続の最下位からの逆襲を期した春季キャンプでは、「自分は最下位チームの4番。優勝できるチームの4番になれるように頑張りたい」と宣言。有言実行の活躍で日本一までチームをけん引した。昨年12月15日のMVP受賞会見では、「まだまだ進化するところばかりだし、もっとできると自分のことを信じている。高みを目指して頑張りたい」と宣言。“自分を信じる力”が若き主砲の原動力となっているのだと感じた。

 選手によって、思考方法はさまざまであることも感じた1年だった。今シーズンの私的なMVP候補として推したい奥川恭伸投手は、村上とは対照的な思考の持ち主だった。昨季は中10日前後の間隔を空けながらではあったが、先発ローテーションに定着。18試合に登板してチームトップタイの9勝4敗、防御率3・26。クライマックスシリーズ最終ステージ、日本シリーズでも初戦の先発を託されるなど、飛躍の年となった。

 プロ2年目を充実の形で終え、自信を深めた1年になったのだろうと思っていた。ところが、右腕の考えは違った。「足りないところはたくさんある。まずは中6日で戦える体力がなかった。技術的にもやりたいことはたくさんあるので、どんどん突き詰めてやっていきたい」。自信になった部分は、との問いにはキッパリと言った。

 「自信はずっとないんですけど、これからもたぶんずっとないまま、不安と戦いながら毎年、毎年やっていくと思う」

 奥川の場合には「これが足りない」と自分を厳しく見つめる姿勢が、成長の源なのだと感じることができた。

 一流選手の言葉には、人の心を動かす力がある。ヤクルト担当を離れるが、今後もアスリートが発する一言一言を大切に受け止めていきたい。(2021年ヤクルト担当・小島 和之)

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