武藤敬司、59歳の告白<3>GHCヘビー級王者として「マイクを持たなかった理由」

武藤敬司
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 プロレスリング・ノアのGHCタッグ王者・武藤敬司が23日、59歳の誕生日を迎えた。2021年は2月に潮崎豪を破りGHCヘビーを奪取、ノアに入団。さらには6月の丸藤正道戦では王座から陥落したが封印していたムーンサルトプレスをさく裂。11月には丸藤正道とのタッグでGHCタッグ王座を獲得しノア、新日本、全日本のメジャー3団体のシングルとタッグ王座をすべて獲得し、高山善廣に続く史上2人目のグランドスラムを達成した。飛躍と激動の1年と来る2022年をどう捉えているのか。スポーツ報知では59歳を迎えた武藤を独占インタビュー。「武藤敬司 59歳の告白」と題し今の本音を23日から連載する。3回目は「マイクを持たなかった理由」(取材・構成 福留 崇広)

 2月12日の日本武道館で潮崎豪を破り、GHCヘビー級王座を初奪取した武藤。3月14日の福岡国際センター大会で清宮海斗を倒し初防衛、4月29日に名古屋国際会議場大会でマサ北宮を破り2度目の防衛に成功したが6月6日のさいたまスーパーアリーナ大会で丸藤正道に敗れ王座から陥落した。防衛ロードを取材しながら気になっていたことがあった。それは、1度もリング上でマイクを持ちファンへのアピールがなかったことだった。今のプロレスは、団体を問わずメインイベントで勝者(時には敗者も)がマイクを持ちファンへメッセージを送ることで興行を締めくくることが日常となっている。それだけにマイクを持たない武藤の姿は異質であり新鮮に映った。GHC王者としてマイクを持たなかった理由を聞いた。

 「あんまりマイク持つの好きじゃないんだよ。説明になるじゃん。プロレスって想像させることが重要でさ。お客様に『何を考えているんだろう』って想像させるのも好きだからさ。俺が育ってきた昔のプロレスはみんなそうだったよ。今のプロレスは、イチイチ説明するんだけど、俺はそれは得策じゃない気がする」

 潮崎戦で決めた「フランケンシュタイナー」でファンの中に眠っていた過去の記憶をよみがえらせた。そこには、中邑真輔戦などかつての名勝負を想像させる効果もあった。「想像させることがプロレス」との思いがあるからこそ、マイクで話すことは観客の想像力を遮断する逆効果を生む危惧があった。プロレスの可能性に自信を持っているからこそマイクを持たなかったのだ。

 「かといって、次の挑戦を名乗り出る時とか、(マイクで)言わざるをえない時はあるけどね。俺も潮崎に挑戦するときは『夢を見てもいいだろう』ってマイクを持ってしゃべったしさ。だけど、しゃべりがうまけりゃいいけどさ、あんまりうまくないやつがしゃべったって、試合までのイメージがガクッて落ちるヤツもいるからな。逆にしゃべってもいいやつもいるんだよ。ザ・ロック(現・俳優のドウェイン・ジョンソン)なんかスゲェからな。相手の物まねしたり、すごいうまかったからな。ただ、俺は基本的にはマイク持ってしゃべるのは好きじゃない。(ファンに)想像させることを一個削るもんね」

 現在のマット界で主流を占める「マイクプロレス」への持論を述べた武藤。一方で昨年、潮崎への挑戦が決まった時に「ノアのバイブルと俺のバイブルは違う」と明かしていた。ノアに入団した今年、「武藤敬司バイブル」はノアを変えたのか。この質問に武藤は、自らの源流となる人物の名前をあげた。

(続く)

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