日本の少年野球の衝撃実態 肩・肘の障害減へ指導者が意識改革を…ディーエーアカデミーが古島医師とコラボ

スポーツ報知
ディーエーアカデミー 中野ベースボールフェスタで行われた肩肘検診

 少年野球の子どもたちに「楽しく」「障害なく」野球を思い切りやって欲しいという思いを形にしたイベント「中野ベースボールフェスタ」(冠スポンサー、全額協賛・ディーエーアカデミー)が19日、東京・中野区で行われた。

 スポーツ医学の第一人者で、肘のトミー・ジョン手術や胸郭出口症候群など、子どもからプロ野球選手まで数々の手術経験を持つ群馬・慶友整形外科スポーツセンター長の古島弘三医師が指導者・保護者を対象に「医学から見る野球指導」と題してセミナーを開催。映像解析など子どもたちの障害防止に科学的に取り組んでいるディーエーアカデミー協力のもと、子どもたちにはひとりひとり肩・肘検診を実施した。

 古島医師はセミナーで約2時間講演。その中で紹介されたのは日本の学童野球の衝撃的な実態だった。

 まだ骨が柔らかく成長段階の小学生にも関わらず、大人の勝利至上主義による「投げすぎ」、勝つための長時間練習による疲労蓄積で肩肘の障害が増加。実際の例として、ある年の小学生の全国大会・全日本マクドナルドジュニアトーナメントで実施した検診結果として、実に投手専任選手のうち80%の選手が肩肘に何らかの障害があったというデータも紹介された。

 小学生のうちに肩・肘に障害が起きると、それによって野球を断念せざるを得ないケースも数え切れないほどあり、中・高でも痛めるリスクが高まるという。症例として上腕骨小頭離断性骨軟骨(OCD)、肘内側側副じん帯損傷などが紹介され実際の手術動画も会場で披露された。

 セミナーでは古島医師が多数のメジャーリーガーを輩出しているドミニカ共和国を訪れ、学童年代の野球を視察し、指導者にインタビューしている様子も紹介された。ドミニカ共和国は小学生世代の肩・肘の障害がほぼなく、土日の練習時間が平均3時間、投手の連投なし、選手への怒声罵声なし、楽しくやる、指導者の喫煙率0%などというデータがある。一方で日本は土日の平均練習時間が6~7時間と長く、怒声罵声もまだ根強く残り、トーナメントの大会では連投もあり、指導者の喫煙率も高い、など違いが明確に出された。

 古島医師がドミニカ共和国の少年野球指導者に日本の実態を紹介すると、その指導者は「長時間の練習では子どもたちにとって本当に必要な休養や栄養が不十分になり、身体の発達が遅れたりする。世界的に見ても当たり前のことです。将来のことと今勝つこと、どちらが大切か指導者が分からないといけないし、子どもたちに教えないといけない。ドミニカはリーグ戦で負けてもいい試合もある。選手が壊れてしまえば一生の財産を失うことになる。今日よりも将来のことが大事な事です」と話した。

 他の競技と比べても子どもたちの競技人口が極端に減っている野球界。親の当番制問題など改善すべき問題が山積する中、子どもたちをケガから守ることは重大なテーマ。球数制限が設けられるなど少しずつ障害予防の考えは浸透してきているとはいえ、まだまだ足りないのが現状だ。

 全国に7店舗のスクールを展開し、映像解析など科学的なトレーニングを導入しているディーエーアカデミーは、子どもたちの動作確認をひとりひとり丁寧に行い、より効果の高いトレーニングが実践できるようにメニューを組んでいる。子どもたちにケガをさせないため、映像解析は障害予防にも役立て、保護者への医学的知識の啓蒙活動も積極的に行っている。

 今回、中野で行われた「ベースボールフェスタ」はそんな思いを持って球界発展に取り組んでいるディーエーアカデミーが全額協賛でスポンサーとなり、同社全面協力のもと、慶友整形外科の古島医師とコラボして行われた。子どもたちにケガをしない、させないためには大人の意識改革が不可欠。ディーエーアカデミーは今後も肩肘検診や科学的知見に基づいた啓蒙活動を積極的に行っていく。

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