フィギュアスケート男子で五輪連覇の羽生結弦(27)=ANA=が、23日にさいたまスーパーアリーナで開幕する全日本選手権で今季初戦を迎える。競技会のリンクに立つのは4月の国別対抗戦以来8か月ぶり。24日にショートプログラム(SP)、26日にフリーに登場する。王者はどんな滑りを見せてくれるのだろうか。再会の時に思いを馳せつつ、優勝した昨年大会を写真と共に振り返る。
銀盤にロックスターが降臨した。羽生が320日ぶりの実戦で披露した新プログラムは、英国の人気歌手ロビー・ウィリアムスの「レット・ミー・エンターテイン・ユー」。会場を総立ちにさせた。「(コロナ下の応援スタイルで)歓声が聞こえないのは残念だけど、テレビやネットで声を出して見てくださったのは感じていた。楽しみながらやらせていただきました」。103.53点の大台突破で、首位発進を決めた。
ゴールドのラメ入りのジャケットと革パンスタイルを合わせた黒基調の衣装を身にまとい、4回転サルコー、4回転―3回転の連続トウループを次々と決めていった。最後の難しい入りからのトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の着氷は、楽器の響きと見事に共鳴。寸分の狂いもなく曲との融合を表現すると、そのまま左足を高く振り上げた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で暗い話題が続く日々。2016~17年シーズンの「レッツ・ゴー・クレイジー」以来のロックナンバーを選んだのには理由があった。「やっぱり明るい曲の方がいいかなと。皆さんがこんなつらい中でもこうやって、自分のスケートを見てくださっている。その中でちょっとでも明るい話題になれば」。2分50秒のライブに、思いを込めた。(高木 恵)