フィギュアスケート男子で五輪連覇の羽生結弦(27)=ANA=が、23日にさいたまスーパーアリーナで開幕する北京五輪代表最終選考会の全日本選手権に出場する意向を固めたことが20日、関係者への取材で分かった。右足首故障の影響で長期離脱していたため、全日本が五輪シーズン初戦となり、4月の国別対抗戦以来8か月ぶりの実戦を迎える。
羽生が競技会のリンクに帰ってくる。複数の関係者によると、エントリーしていた全日本選手権に出場する意向を固めた。11月のグランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯前の練習中に転倒し、右足関節靱帯(じんたい)を損傷。第6戦のロシア杯も欠場していた。北京五輪シーズン初戦となる全日本選手権は、4月の国別対抗戦以来8か月ぶりの実戦となる。
ロシア杯回避を発表した11月17日には、日本スケート連盟を通じて「動きによっては痛みが出てしまいますが、日常生活では、痛みの影響がなくなってきました。まだスタートラインにはたどり着いていませんが、着実に前に進んでいきます」と、コメントしていた。右足首は過去にも痛めた箇所になり、慎重に回復状況を見極めてきた。11月から少しずつ氷上練習を再開しながら、実戦復帰の判断を下した。
コロナ禍の影響でGPシリーズにエントリーしなかった昨季も、初戦は全日本選手権だった。ともに初披露となったショートプログラム(SP)「レット・ミー・エンターテイン・ユー」と、フリー「天と地と」で圧倒的な滑りを見せ優勝した。新型コロナウイルスの影響で、練習拠点のカナダには戻らずに国内で調整を続けている。オミクロン株の感染拡大を受けた政府の水際対策強化のため、昨年の全日本選手権同様、ブライアン・オーサー・コーチ不在の中での戦いとなる。
羽生は3連覇の懸かる北京五輪への挑戦を明言していないが、抜群の実績で3枠の五輪代表入りが有力とみられる。前回の2018年平昌五輪シーズンでは同じ右足首痛で全日本を欠場したものの代表入りを果たし、66年ぶりの五輪連覇を成し遂げた。平昌五輪後、最大のモチベーションに掲げてきたのは前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)。全日本選手権で挑戦するか注目が集まる。22日の公式練習に登場予定で、男子SPは24日、フリーは26日に行われる。
◆羽生の今季経過
▼6月29日 国際スケート連盟(ISU)がグランプリ(GP)シリーズ6戦の出場選手を発表。羽生は第4戦のNHK杯(11月12~14日、東京・国立代々木競技場)と第6戦のロシア杯(11月26~28日・ソチ)にエントリー。
▼7月9日 アイスショー「ドリーム・オン・アイス」で、今季の初演技を披露。北京五輪に向けては「平昌シーズンみたく絶対に金メダル取りたいという気持ちは特にない」「ただ、必ずこのシーズンで4回転半を決めるんだという強い意志はある。しっかりとその意志を決意をもって、今シーズン挑みたい」。
▼10月18日 GPシリーズを放映するテレビ朝日が選手のコメントを発表。羽生はボードに「できること、一つずつ。」と記した。「自分の一番の目標は4回転半を成功させたいということなので、そこに向かって今、全神経と、全気力を使ってる感じです」
▼11月4日 右足関節靱帯損傷のため、NHK杯を欠場すると発表。「NHK杯にむけて全力で取り組んできましたが、たった一度の転倒で、怪我(けが)をしてしまい、とても悔しく思っています」「今回の怪我からも、また何かを得られるよう、考えて、できることに全力で取り組みます」
▼同17日 「右足関節靭帯損傷」の回復が遅れているため、ロシア杯を欠場すると発表。「動きによっては痛みが出てしまいますが、日常生活では、痛みの影響がなくなってきました。まだスタートラインにはたどり着いていませんが、着実に前に進んでいきます」