なんとかJ1残留の清水 苦しんだ今シーズンを担当記者が振り返る(下) 目指すサッカー作って継続を

スポーツ報知
給水タイム中に声を掛け合う清水イレブン

 J1清水エスパルスは今季14位と3年連続2ケタ順位に終わった。残り4試合で就任した平岡宏章監督(52)の下、3勝1分けで最終節に残留を決めたが、来季へ課題は山積みだ。主将の1人、DF鈴木義宜(29)は「クラブとして目指すサッカーへの意思表示が必要」と訴えた。前日に続き、今季を担当の森智宏記者が振り返る。

 11月4日にロティーナ監督の解任を発表。その前日、今季初の3連敗を喫した3日のFC東京戦(0●4)では、イレブンが完全に自信を失っていた。3点を失った前半の給水タイム後には、MF松岡大起(20)がゲキを飛ばすも、下を向いている選手ばかり。目指している方向がさっぱりわからない。DF片山瑛一(30)は「難しい試合にしてしまった」。今季就任した指揮官の下目指した「ミリ単位」のサッカーは勝利に見放され、完全に迷走状態にはまっていた。

 残り4試合、17位以下の降格圏内との勝ち点差は2の難しい局面で昨季に続き平岡宏章監督(52)が就任。コーチとして一番近くで見ていた経験を生かし、戦術を継承しながら、チームが甦る「交通整理」を計った。

 機能しなくなった「ミリ単位」から解放された攻撃陣は躍動する。就任3日目に迎えた札幌戦(2△2)で、ユース時代の教え子、MF滝裕太(22)が同点弾。ショートカウンターやドリブルで決定機を演出したMF鈴木唯人(20)は「自由にやっていいよ」と言われたという。

 守備は前任者の戦術をベースに、プレッシャーの掛け方や守備のスイッチの入れ方を改善。MF竹内涼(30)も「すんなり動けている」と11月の広島戦(1〇0)で15試合連続失点を止め完封勝利。続く浦和戦(1〇0)は2試合連続完封で今季初の連勝を決めた。

 「残留」に向け、チームに一体感が高まると、日替わりヒーローも出現した。札幌戦での滝に続いて、浦和戦では途中出場のMF中村慶太(28)が後半ロスタイム残り1分で決勝弾。「一体感」を生んだのはスーパーサブだけではない。GK権田修一(32)は最終節の試合後、今季リーグ戦出場できなかったGK大久保択生(32)が「毎日クラブハウスに一番早く来ていた」とスピーチで涙ながらに明かした。平岡監督が求めた犠牲心が最後の最後で残留への力となった。

 しかし、シーズン前の11人に加えて、夏にも5人が新加入。大熊清GM(57)は「チームに足りないアシストや得点を補ってほしい」と期待を寄せたが、MF松岡が最多15試合出場で得点はFW藤本憲明(32)の1点のみ。途中で指揮官が交代したこともあり、十分な結果が出たとは言い難い。

 来季は創設30周年の節目の1年。3年連続での「監督途中交代」「2桁順位」からの脱却が至上命題となる。DF鈴木義は「クラブとしてどういうサッカーを目指していくのか、意思表示すべき」と漏らした。方向性を示し、粘り強く継続する以外、王国復活の道は開けない。

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