さらば鬼平…27年にわたり演じた吉右衛門流の長谷川平蔵、人間味あふれるキャラお茶の間に愛された

スポーツ報知
中村吉右衛門さん

 11月28日に死去した中村吉右衛門さんは、歌舞伎界での活躍はもちろん、映像作品での時代劇スターとしても当たり役に恵まれた。とりわけ、フジテレビ系時代劇「鬼平犯科帳」では、人間味のある主人公・長谷川平蔵役を熱演。四半世紀以上続く看板シリーズに成長し、お茶の間の人気も博した。

 「火付け盗賊改方、長谷川平蔵である。神妙にお縄につけ!」。りりしい声で放つ決めぜりふに、美しい立ち回り。吉右衛門さんは89年の第1シリーズから、2016年の「THE FINAL」まで、27年にわたり「鬼平」こと長谷川平蔵を演じ、時代劇スターとしても人気を博した。

 池波正太郎さんの時代小説を原作に、凶悪犯から「鬼の平蔵」と恐れられた実在の人物をモチーフにした「鬼平―」。もともと、実父である8代目松本幸四郎(初代・白鸚)さんが、69年のNET(現・テレビ朝日)系で初代の鬼平を演じ、吉右衛門さんが4代目だった。40歳でオファーを受けた吉右衛門さんは「まだまだ私には早すぎる。中途半端な気持ちでは受けられない」と何度も固辞。鬼平にふさわしい人物になるべく心身を磨き、5年後に満を持してオファーを受けいれるほどの思い入れがある作品だった。

 吉右衛門さん版の鬼平は、悪人を取り締まる厳しさの中にも、人情味がにじむキャラクターだった。ただの勧善懲悪ではなく、人間の業や葛藤なども受け入れる鬼平の姿に加え、日本の四季のうつろいをジプシー・キングスの楽曲に乗せ送る斬新なエンディングも話題に。お茶の間の圧倒的な支持を集め、最高視聴率は23・6%(92年5月13日=ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、鬼平は「理想の上司」とも言われた。

 編成担当時代に「鬼平―」を担当したフジテレビの遠藤龍之介取締役副会長は「『鬼平犯科帳』シリーズはフジテレビの時代劇の原点とも言うべき作品」とコメント。「峻厳(しゅんげん)な『鬼の平蔵』と恐れられる反面、寛容で情け深い一面もあるという池波文学特有の難しい役柄を見事に演じ切ってくださいました」と熱演をたたえた。同局によると、追悼番組などの編成に関しては未定。

 ◆鬼平犯科帳 作家・池波正太郎さん(1990年死去、享年67)の人気時代小説が原作。凶悪犯に「鬼の平蔵」と恐れられる、「鬼平」こと火付け盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公に、役人や密偵が事件を解決する捕物帳。テレビドラマ版は1969年、8代目松本幸四郎(初代松本白鸚)の主演でスタート。ほかに丹波哲郎さん、萬屋錦之介さんが演じた。中村吉右衛門さんは4人目の「鬼平」として、89年7月から2016年12月まで、シリーズ150作に出演した。

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