【報知映画賞】木村拓哉、デビュー30周年で初の主演男優賞…タンゴに苦戦「ダメだ、これは」弱音も

「マスカレード・ナイト」のメインカット(c)東野圭吾/集英社・映画「マスカレード・ナイト」製作委員会
「マスカレード・ナイト」のメインカット(c)東野圭吾/集英社・映画「マスカレード・ナイト」製作委員会
「第46回報知映画賞」受賞一覧
「第46回報知映画賞」受賞一覧

 今年の映画賞レースの幕開けを飾る「第46回報知映画賞」の各賞が30日、発表された。主演男優賞は「マスカレード・ナイト」(鈴木雅之監督)でホテルマンになりきり潜入捜査する刑事を演じた木村拓哉(49)が初受賞した。91年のデビューから30周年を迎えた節目イヤーでの快挙を「たくさんの役者さんがいる中で、すごくうれしい」と喜んだ。表彰式は今月中旬に都内で行われる。

 木村はどこか戸惑うように言葉を紡いだ。「本当にたくさんの作品や役者さんがいる中で選んでいただいてすごくうれしい。でも、なんだろう。こういった選考に自分が対象として存在したことがあまりなかったので」

 東野圭吾氏の原作小説の映画第2作。前作「マスカレード・ホテル」の公開(19年1月)からコロナ禍で世界は一変した。共演者と満足に会話もできない。「いいカットを撮れた時のハイタッチ」や「お疲れさまのハグ」もなかった。最終盤のパーティーのシーンも「一見華やかでセクシーなんですけど、現場は割と緊張感があって。足かせではありました」と明かした。

 逆境でも挑戦をやめないのが木村流。劇中で印象的なアルゼンチンタンゴは、初回のレッスンで「ダメだ、これは」と弱音を吐いた。アイドル時代にダンスは磨いたのでは? そう尋ねると、勢いよく言葉が返ってきた。

 「ぜっんぜん。今まで端っこをかじってきたような踊りは、全く生かされなかった。一人で回ってステップすることはしてきたけど、タンゴは違う。いかに相手を美しく見せられるか」。そう言うと、指を鳴らしてビートを刻んだ。「僕らは、音楽にのせて踊っていた。でもタンゴの音楽は単なる背景で。いとおしく、苦しく、悲しく。音を背景にして、人生の一瞬を紡ぐ。“目からうろこ”じゃなくて“目から身”が落ちたような感覚でしたね」

 “視聴率男”として語り継がれる作品を数多く残してきたが、本作も「最高」だった。「日本映画では珍しく、これでもかというくらいにお祭りみたいで。あと改めて現場が好きだなって」

 演技の「原点」は初舞台「盲導犬」(89年)。演出の故・蜷川幸雄さんの厳しい指導に「髪が白くなるどころか、ハゲましたからね。もう好きとか嫌いじゃなかったですね」。30年以上、最前線を走り続けてきた根幹にあるのは現場を大事にする蜷川イズム。「プロの職人さんが『おまえのスキルはどんなもんなんだ』と迎え入れてくれて。それに応えれば『最高の光をつくってやる』『それを逃さないで撮ってやる』と。はたから見れば夜遅くまで大変だとか思うでしょうけど、やりたくてやっている。覚悟を決めている。最終的にはお互いを認め合いながら楽しんでいるだけなんですよね」

 時には「何をやってもキムタク」と言われることもあるが、唯一無二の存在であることの裏返しでもある。「どんな役というより、どんな現場にも招集されるようにね」。彼の言葉も姿勢も変わらない。だからこそ、木村はずっと頂にいる。(田中 雄己)

 ▼主演男優賞 綾野剛、岡田准一、佐藤健、菅田将暉を推す声もあったが、1回目の投票で多数を集めた木村拓哉に決定。「渋みが増して成熟した男の香りが匂い立つ。華やかな映画を表情一つで支え切った」(見城)、「華やかさと存在感が飛び抜けていた」(荒木)

 ◆マスカレード・ナイト 連続殺人事件の解明のため、捜査1課刑事の新田浩介(木村)は超一流ホテルに潜入する。宿泊客を疑う新田と、信じるホテルマンの山岸尚美(長澤まさみ)の異色バディが、非日常の特殊空間で起こる難事件に挑む。

「マスカレード・ナイト」のメインカット(c)東野圭吾/集英社・映画「マスカレード・ナイト」製作委員会
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