【報知映画賞】瀬々敬久監督、震災と向き合い作品賞「みんなの力が結集した結果」

スポーツ報知
色紙に「志」と書き込み照れ笑いを浮かべる瀬々敬久監督

 今年の映画賞レースの幕開けを飾る「第46回報知映画賞」の各賞が30日、発表された。作品賞は瀬々(ぜぜ)敬久監督(61)の映画「護られなかった者たちへ」が選ばれた。表彰式は今月中旬に都内で行われる。

 次回作の撮影中に吉報を受けた瀬々敬久監督は「スタッフ、キャスト、ロケをした宮城県の方々、みんなの力が結集した結果」と総合力を強調した。

 「護られなかった者たちへ」は仙台を舞台にしたミステリー。連続殺人事件の容疑者とされる利根泰久を演じた佐藤健(32)の熱演が光った。「健くんは真っ赤に燃える炎というより、青白い炎。感情を内側に秘めていました」。東日本大震災に真っ正面から向き合い「極限状態でも、出会いや別れ、人間の基本的な活動がある。震災を経験した方々にも納得してもらえるように」と避難所の描写などは特に細心の注意を払った。

 震災や社会保障など硬派な題材に人間ドラマやサスペンスを巧みに融合させた。「単純な勧善懲悪にはしたくなかった。社会保障をめぐって利根(佐藤)と対立する人々にも彼らなりの道理があった」。撮影期間中、コロナの影響で不自由を強いられることも多かったが、「知恵と勇気で乗り切った」と胸を張る。

 色紙に揮毫(きごう)を依頼すると、「志」と書き込んだ。「映画には志が大事。人の心を動かす映画を作りたい。たった一人でも好きだと言ってくれたら、その人のために映画を作りたい」と思いを明かした。(有野 博幸)

 ▼作品賞・邦画 「ヤクザと家族 The Family」との決選投票の末、1票差で「護られなかった者たちへ」に軍配。「純文学の白眉にして人間の精神を巡る究極のエンターテインメント。佐藤健、阿部寛、倍賞美津子、清原果耶が素晴らしい」(見城)

 ◆護られなかった者たちへ 震災から10年目の仙台で、異様な殺人事件が相次いで発生。刑事の笘篠誠一郎(阿部寛)は被害者の部下・円山幹子(清原果耶)から勤務先の様子を聞いた。その後、放火事件で服役していた利根泰久(佐藤健)が容疑者として浮上する。

 ◆瀬々 敬久(ぜぜ・たかひさ)1960年5月24日、大分県生まれ。61歳。京大在学中から自主映画を製作し、89年にピンク映画「課外授業 暴行」で監督デビュー。2000年頃から一般作品に取り組み、主な監督作は「感染列島」(09年)、「64―ロクヨン―前・後編」(16年)、「糸」(20年)など。

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