今年の映画賞レースの幕開けを飾る「第46回報知映画賞」の各賞が30日、発表された。アニメ作品賞は、明石家さんま(66)がプロデュースした「漁港の肉子ちゃん」(渡辺歩監督)が受賞した。表彰式は今月中旬に都内で行われる。
明石家さんまが直木賞作家・西加奈子氏(44)の小説にほれ込み、アニメ化を熱望した「漁港の肉子ちゃん」(渡辺歩監督)がアニメ作品賞に輝いた。
企画・プロデュースのさんまはコメントを寄せ「スタジオ4℃さん、渡辺監督の力です。俺はアシストしただけ」とスタッフをねぎらった。続けて「憧れていた報知映画賞、どうしても欲しかったので、頑張ったかいがありました。今日から報知新聞を取るようにします」と喜んだ。
さんまの一言が指針になった。「ターゲットとかそういうのはええねん。作る側が面白いと思うことが大切」。その言葉に渡辺監督は「実は誰よりも時代を見据え、自身のフィルターを通しプライドをかけて全力でお客さんを喜ばせる。アニメ化のアイデアは流行への安易な迎合でなく、深く鋭い表現者の嗅覚なのだ」と刺激を受けたという。
6月11日の公開から「観客にとって優しい映画になれただろうか?」と自問自答し続けた渡辺監督。「今回の受賞は大切な答えのひとつです。私たちスタッフにとって、この上ない喜びです」と胸をなでおろした。(有野 博幸)
◆漁港の肉子ちゃん 「普通が一番ええのやで!」が口癖の肉子ちゃん(大竹しのぶ)は食いしん坊で明るくパワフル。小学5年生の娘・キクコ(Cocomi)は多感なお年頃で母のことが最近ちょっと恥ずかしい。ある時、漁港の船に住む母娘の秘密が明かされ、奇跡が訪れる。
▼アニメ作品賞 「えんとつ町のプペル」「トゥルーノース」「竜とそばかすの姫」などを推す声もあったが、1回目の投票で「漁港の肉子ちゃん」が過半数に。「とても親しみやすくていい作品」(YOU)、「絵やストーリーがほのぼのとしていて、本当に楽しい」(松本)