どん底からはい上がってきた松岡正海騎手の第2章に注目

スポーツ報知
美浦トレセンで精力的に動く松岡

  パッと花が咲いたように華やいだ。昨年12月13日の香港C・G1にウインブライトで参戦(2着)したのを最後に戦列を離れていた松岡正海騎手(37)=美浦・フリー=が、10月22日に調教騎乗を再開し、11月6日の東京開催からレースにも戻ってきた。報道陣に囲まれるといつもの松岡節で盛り上げ、トレセンに笑顔の輪が広がる。ただ、この笑顔の裏には壮絶な戦いがあった。

 昨年2月に落馬し、左大たい骨を骨折した。昨年末にウインブライトに騎乗するために一時復帰したが、香港C後の再手術など計4度の手術を受けた。その間、良くなる兆候はなかなか見られなかった。

 今年初めには血栓を発症して重篤な状態に陥り、病院に家族が呼ばれるほど、危機的な状況にも陥った。「もう戻れないかも。そうなったらユーチューバーにでもなるよ」。強気な勝負師から珍しく弱気な言葉が聞かれたのもこの頃だ。

 引退…、何度も頭をよぎっただろうとは容易に想像がつくが、葛藤を抱えながらもファイティングポーズだけは決して崩さなかった。まだ世界が深刻なコロナ禍になる前の昨年3月に病院に見舞ったが、「コーヒーでも飲もう」と病室を出たときだ。後ろから押そうとすると、「いいよ。これもリハビリだから」。病院の外に出ると坂道もあったが、両の腕で必死に車いすをこいだ。

 秋を迎えようやく回復の兆しを見せると、今までつけたことがなかったパーソナルトレーナーに師事し、使える上半身だけでもと、初めて筋トレにも励んだ。努力を人に見せるのは嫌だと言い続ける男が、「ジョッキーは天職」と言ってはばからない唯一の場所に戻るため、歯を食いしばって復帰にこぎつけた。

 普段は歯に衣(きぬ)着せぬ言動で、誤解を生むことも多いが、競馬に対して真っすぐに向き合う姿勢はまさにプロ。騎手と記者の関係を超えて、刺激になることも多い。「また、ウインブライトみたいな馬に出合いたい」と新たな思いを胸に秘める。松岡劇場の第2章でどんなストーリーが展開されるのか。しっかり見届けたい。(中央競馬担当・松末 守司)

競馬

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請