長嶋茂雄さんがベーブ・ルースを意識「「3番の背中とあの角度、イメージしていた写真」

スポーツ報知
長嶋茂雄監督勇退セレモニー

◆2001年9月30日、巨人・長嶋茂雄監督が勇退あいさつ(軍司敦史カメラマン)

 外は土砂降りの雨、試合は大敗、しかしファンはみんな、自分の目にその姿を焼き付けようと帰らなかった。この2日前、長嶋茂雄監督はシーズン限りの監督勇退を表明。迎えた東京ドーム最終戦に、弊社も10人を超えるカメラマンを配置して万全の態勢で臨んだ。

 試合後のセレモニー、一塁側から表情を狙っていた私は、逆光ぎみに照らすスポットライトが効果的な位置にあることに気がついた。今日はたくさんの同僚があらゆる角度から撮っている、「ここは雰囲気を入れた広めの画(え)を撮ろう」。満員の観客がいるとは思えない幻想的な雰囲気の中で、あいさつを終え四方にお辞儀する長嶋監督の写真は、当番デスクやレイアウターの決断で、原稿を減らした異例の“魅せる”1面に仕立てていただいた。

 翌日の各紙を飾った膨大な写真の中で、長嶋さんご本人がこの1面を大変気に入られていると耳にした。後日、直接伺う機会があった。「3番の背中とあの角度、イメージしていた通りの写真だった―」そして、1949年のピュリツァー賞を受賞した、ベーブ・ルースの写真を挙げた。

 引退後のルースが、ヤンキー・スタジアムの25周年式典に出席し、あいさつする様子を背後から撮影した有名なショット。長嶋さんは、自身のセレモニーで同じような瞬間を思い描いていたのだという。「ピンストライプの3番と同じ3番、報知さんの1面を見て、まさにこれだと思った」。正直、そこまで考えは及んでいなかった。偶然の産物ではあったが、これほど「見え方」まで気を使っている姿勢には驚かされた。

 あれから20年、新型コロナウイルスに振り回された「特別な2年目」が終わった。来シーズンはどんな名シーンが生まれるだろうか。

 【2001年10月1日付紙面より】東京ドームが泣いた。日本が泣いた。巨人の長嶋茂雄監督(65)が30日、東京ドームで本拠地最終戦を行い、ファンに別れのあいさつをした。「来年、再来年と限りなくチームがまい進していくことを、一OBとして祈念しております」と話した長嶋監督に、来季から指揮を執る原辰徳ヘッドコーチ(43)が「我々巨人軍、多くのファンの中では、いつまでも永遠に長嶋監督です」と、選手、球界関係者、ファンを代表して謝辞を述べた。笑顔でドームを一周した後、胴上げで5度、宙に舞ったミスター。「やめないで!」「長嶋、ありがとう」歓声、悲鳴が交錯するホームでのラストゲームを終えて“白い背番号3のユニホーム”を静かに脱いだ。(年齢と肩書は当時)

巨人

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