【オリックス】名伯楽・新井宏昌氏「イチローがいた前回に似ている現チーム」黄金時代到来を予感 インタビュー

スポーツ報知
新井打撃コーチ(右)が持っていたシーズン最多安打記録(130試合)を破る185安打をマークしたイチロー(1994年)

 ヤクルトとの日本シリーズで6試合すべて2点差以内の決着という激戦の末に敗れ、1996年以来の日本一を逃したオリックス。当時コーチを務めていた新井宏昌氏(69)がこのほどスポーツ報知のインタビューに応じ、惜敗の要因を分析したほか、25年前を回顧して今季と比較。経験を積んだ若手が台頭し、「常勝軍団」となる可能性を示唆した。

(取材・構成=宮崎 尚行)

 今年の日本シリーズは熱戦に次ぐ熱戦の、いい戦いだった。あえて両チームの差を挙げるとすれば、攻撃陣だと思う。全6戦での打率はオリックスが上回った(オリックス=2割4分、ヤクルト=2割1分3厘)が、数字に表れない部分。一番は助っ人だ。ヤクルトはサンタナ、オスナが全戦で先発して大事な場面で活躍したのに対し、オリックスは4、5戦目のスタメンには外国人がいない状況だった。今季は爆発的に攻撃陣が良くて優勝したわけでなく、投手力のチーム。決して強力打線とは言えなかった面が、日本シリーズで出た印象だ。

 前回、日本一になった96年のチームはイチローがクローズアップされるけど、大島や田口など、つられて周りの選手が「俺も、俺も」という感じになっていた。彼がいい起爆剤となり、誘導役をしていた。イチローの前に誰が塁に出て、誰がかえすか。イチローを絡めてということで、ある意味、今年と同じ全員野球だった。吉田正が軸となる中で福田、宗の1、2番コンビに4番・杉本。彼らが途中から最後までやり通せたのが大きい。

 投手では当時の先発陣はベテラン勢が多く、例えば星野は5回まで投げてリードしていたら交代していた。若く勢いのある山本、宮城が中心となった今年とは大きく違う。ただ、勝ち方は似ていたと思う。リードして7、8、9回と万全の継投をして逃げ切る。仰木監督は、采配で一番自信があるのは投手起用だと言っていた。中嶋監督は捕手出身。リリーフを3連投させないとか、投手起用に関して絶対のこだわりを持っているように見えた。そういうところは、似ていると思う。

 震災が起きた年、95年のリーグ優勝も含めてスタンドの応援は本当に大きかった。球場はいつも満員。当時のパ・リーグではあり得なかった。来る人も大変な状況なのに。頑張らなきゃって気持ちになる。きれいごとじゃなく、声援の力。95年は神戸のファンと一緒に喜べなくて残念な気持ちがあったので、96年の2度の胴上げは「やった」「やりきった」と思えた。日本一っていいなと。勝って終わるのは、こんなに気分がいいものかと最高だった。

 今年は日本一を逃したが、来年以降が楽しみだ。チームはここ最近ずっとBクラスで、優勝争い自体が初めての選手ばかり。レギュラーシーズンを終えてクライマックスシリーズ、日本シリーズと、戦っている最中は必死で何も考えられなかっただろうが、これから徐々にシーズンの充実感や最後に負けた悔しさを感じてくるはず。この経験をしたことで、次に反省も生かせる。96年は幸い、2年連続リーグ制覇できたので、前年に敗れた経験をそれぞれが生かせた。

 この1年で、選手それぞれが経験に加えて自信もつけたと思う。まだ若い選手が多く、伸びしろがあるのも大きい。故障なく、首脳陣らスタッフがうまく引っ張っていければ「常勝軍団」となっていく可能性もある。2016年に25年ぶりのリーグ優勝を果たし、その後にリーグ3連覇した広島がそう。私は15年でコーチを退いたが、今季のオリックスと同じように、それまでレギュラーでなかった若い選手が経験を積み、それを生かして力を伸ばし、黄金期をつくりあげた。今のオリックスも投手力がいいので、この経験を生かして打撃陣がレベルアップすれば面白い。そこに外国人でいい補強をできれば、強いチームになっていくと思う。

 ◆新井 宏昌(あらい・ひろまさ)1952年4月26日、大阪府生まれ。69歳。PL学園、法大を経て、74年ドラフト2位で南海入団。85年オフにトレードで近鉄移籍。87年、打率3割6分6厘で首位打者。92年、通算2000安打を達成し現役引退。通算成績は2076試合で打率2割9分1厘、88本塁打、680打点。引退後はオリックス、ダイエー(ソフトバンク)、広島で打撃コーチなどを歴任。右投左打。現役時代は175センチ、66キロ。

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