「今いる位置から撮影できる最高の写真は何か。それを常に考えろ」1面&最終面飾ったイチロー最後の雄姿

スポーツ報知
MLB日本開幕シリーズ第2戦。8回の守りに一度ついた後に交代を告げられたイチロー。観客のスタンディングオベーションに手を挙げて応える

◆2019年3月21日、マリナーズ・アスレチックス戦(泉貫太カメラマン)

 心臓が高鳴った。東京ドームでのMLB開幕シリーズ第2戦。最大の注目は日本最後の試合といわれたイチローだった。前年5月に一度は実戦を離れており、「試合後に引退表明か?」「いやシアトルでセレモニーでは」などの臆測が飛び交う中、9番・右翼で先発。午後6時35分に試合は始まった。

 メジャーデビューした菊池雄星を中心に撮影を続けて30分が過ぎた頃、スマホが鳴った。「イチローが第一線を退くと球団に伝えた。試合後に会見もやるらしい。A1(2ページ見開き紙面を1枚の写真で大きく展開)で構えて待つから横で大きく使える写真を狙って―」。デスクはいつもより早口だった。大好きなメジャーに関われると試合前から興奮していたが、心拍数はさらに上がった。

 レンズを構えていたのはマリナーズベンチがある三塁側カメラマン席。「今いる位置から撮影できる最高の写真は何か。それを常に考えろ」。この日のデスクが昔、自分にくれた言葉を思い出した。試合の経過とともに、シャッターを押して写真を送信する作業を繰り返しながら、考えた。

 8回裏、一度守備に就いた51番に交代が告げられる。球場内に湧き上がる歓声とスタンディングオべーション。

 「ここだ」

 スタンドのファンを背景に、エリア51に別れを告げるイチロー。翌日の紙面は1面と最終面が自分の横写真1枚でつながっていた。

 試合後の場内一周に会見―。全てを終えると日付が変わっていた。素人から始めて当時7年目だった写真記者には、得難い経験だった。

 【2019年3月22日付紙面より】マリナーズのイチロー外野手(45)が21日、現役引退を表明した。東京Dでのアスレチックスとの開幕第2戦の前に、球団側に第一線を退く意向を伝えた。「50歳までプレー」を宣言していたが、昨年5月に会長付特別補佐でフロント入りし、プレーから離れていた。今年のキャンプで選手復帰したが、オープン戦から調子が上がらず、日本での開幕シリーズも2試合で5打数無安打だった。日米通算4367安打を誇るレジェンドが、バットを置いた。(年齢と所属は当時)

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