「俺たちはすごい選手の第一歩を撮ったのかもしれないよ。結果は2、3年したらわかるよ」ジャスト3年後に最年少100号本塁打

スポーツ報知
右越えにプロ初打席初本塁打を放ったヤクルト・ドラフト1位の村上は人差し指を突き上げる

◆2018年9月16日、ヤクルト・村上宗隆がプロ初ホームラン(泉貫太カメラマン)

 今年9月19日のこと。東京六大学野球の取材を終え会社に戻った私は、先程までいた神宮球場で行われているヤクルト―広島戦の第1打席で、村上宗隆がプロ通算100号本塁打を打ったことを知った。

 もう少し残っていたら記録達成を撮影できたのに。ツキがないなと思ったが、秋の神宮と村上とホームラン―その3つが頭の中でつながった。「そういえば…」。記憶を頼りに写真データを見返すと、3年前の懐かしい記憶がよみがえってきた。

 偶然にも撮影する機会に恵まれた、高卒1年目ルーキーのプロ初本塁打。秋の神宮ナイトゲームで肌寒かったことを覚えている。優勝へのマジックナンバーを1ケタとしていた広島の取材が主な目的だったが、この日1軍昇格したばかりの村上も気になっていた。

 2017年のドラフト1位で、高卒同期の日本ハム・清宮幸太郎、ロッテ・安田尚憲、広島・中村奨成と並び評された大砲候補。アマチュア野球を精力的に取材していたこともあり、九州学院に高校通算52本塁打を誇る捕手がいることは知っていた。しかし村上の甲子園経験は1年生の時のみ。さらにU―18日本代表にもこの4人の中では唯一漏れており、1軍でどんな打撃を見せてくれるのか楽しみにしていた。

 見せ場はいきなりやってきた。「6番・三塁」で先発出場した2回1死一塁。一塁側カメラマン席から背番号55がくるっと回転してこちらを向いた瞬間、ファインダー越しに本塁打を確信した。

 通常であればすぐに打球を追って相手野手にレンズを向けるものだが、ドラ1ルーキーの記念弾とあり、そのまま姿を追い続けた。全力疾走するでもなく、右腕を上げたままゆっくりと打球の行方を追うその姿に、風格を感じた。ヤクルトは試合には敗れたが、初打席初アーチの鮮烈デビューはマジックを4にした広島を上回る紙面の扱いだった。

 試合後、隣で撮影していたベテランカメラマンが声をかけてきた。「俺たちは今日、すごい選手の第一歩を撮ったのかもしれないよ。まあ、結果は2、3年したらわかるよ―」。ちょうど3年後の最年少100号本塁打。あの清原をもしのぐ記録で、この写真の価値を十分に知らしめてくれた。

 今や、セ・リーグ優勝へひた走るツバメの群れの中心に立ち、本塁打王を争う背番号55。僕たちは価値ある瞬間に立ち会ったんだ―あのカメラマンの言葉を思い出した。

 【2018年9月17日付紙面より】神宮に衝撃が走った。4点ビハインドの2回1死一塁。すさまじい衝突音とともに、村上の打球は右翼席へ美しい放物線を描いた。プロ初打席で1号2ラン。右手人さし指を突き上げて走り出す姿も18歳とは思えない。両親が見守る中、2000年生まれ初のミレニアムアーチだ。日本の4番へ―新時代のスター候補が規格外のデビューを飾った。

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