「羽生結弦の良い写真が撮りたいんだ。頼む」魂のお願いで場所移動許され雄たけび激写

スポーツ報知
フリーの演技を終え、雄たけびを上げる羽生結弦

◆2018年2月17日、平昌五輪フィギュアスケート男子フリー(相川和寛カメラマン)

 それはまさに「魂の雄たけび」だった。ショートプログラム首位で迎えたフリーの演技直後。66年ぶりの連覇を確信すると、羽生結弦は迷いなくキスアンドクライへ向かった。待っていたのはブライアン・オーサー・コーチ。その背後のカメラマン席に陣取っていた私は、羽生の鬼気迫る表情を撮り逃さないように夢中でシャッターを押した。

 五輪取材のため韓国入りしたのは2月6日。私はスキーやスノーボードなど“雪山担当”だったため、羽生をリンクで取材するのは、現地に入って11日経過したこの時が初めて。さらにフィギュアスケート取材も人生で2度目と、経験に乏しかった。連覇達成の瞬間を撮影することは一世一代の大仕事、今振り返ってみても、これまでのカメラマン人生の中で最も集中した4分間だったと言っても過言ではない。

 主催者から割り当てられた撮影場所は、キスアンドクライとは反対側のスタンド席だった。見渡して「ここでは絶対に良い写真が撮れない」と直感した。行ってみたい場所を望遠レンズでのぞいてみると、まだ席は空いているようだ。競技開始まであと15分、急いでキスアンドクライ裏に向かった。

 しかし当然ながら、担当者に「(撮影場所の)チケットがないからダメだ」と止められた。普段の取材なら諦めただろうが、この時だけは引き下がれなかった。「羽生の良い写真が撮りたいんだ。お願いだ。頼む。席はまだ空いているじゃないか…」。つたない英語での“魂のお願い”は5分ほど続いた。競技開始まであと5分、根負けした担当者は「空いている席に座っていいぞ」と許可してくれた。

 あれから4年がたとうとしているが、今でも記憶に焼き付いている。ファンだけでなくカメラマンも魅了する羽生結弦という唯一無二の存在。再びリンクの上で輝く姿を見せてほしい。

 【2018年2月18日付紙面より】何度もガッツポーズを繰り返し、氷上で羽生が雄たけびを上げた。まだフェルナンデスと宇野の演技が残っていたが、勝利を確信した。右足首をさすり、氷を3度叩いた。「ここまで来るのに大変だったんで、いろんな思いがこみ上げた。本当に右足が頑張ってくれた」。66年ぶりの連覇が決まると、みるみる目に涙がたまり、こぼれ落ちた。

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