アントニオ猪木氏「本当は見せたくなかった」弟子KENSOに闘病生活を撮影させた

スポーツ報知
3月、千葉県内の病院に入院していたアントニオ猪木氏

 難病と格闘し復活を目指す元プロレスラーのアントニオ猪木氏(78)を入院中から半年以上にわたって密着した「燃える闘魂 ラストスタンド~アントニオ猪木 病床からのメッセージ~」が27日午後8時30分から90分にわたってNHK BSプレミアムで放送される。これまで猪木氏の闘病映像は公式YouTubeチャンネル「最後の闘魂」での限定配信だったが、テレビマンとして密着ドキュメントを仕掛けたのはKENSOとして活躍した元新日本プロレスの鈴木健三氏(47)だった。オンエアを前に試写を見せてもらった。

 猪木氏が闘っているのは、アミロイドという物質が全身にたまり血液循環が悪くなる“100万人に数人”といわれる難病。心臓の働きが20%にまで低下し、死に至る危険もあるという。「普通であれば、もうギブアップですね。だけどファンはそれを許してくれないよ」。ベッドに横になりながら言葉を絞り出す。

 これまで猪木氏は病室にパソコンを持ち込み、リハビリ姿を公式YouTubeで自ら発信してきた。それらは当然ながら、体調のいい時に限られたが、見られたくない時もカメラが追う密着取材を取りつけたのが、猪木氏の弟子で現在、制作会社・共同テレビジョンのプロデューサーを務める鈴木氏だった。

 明大ラグビー部出身の鈴木氏は1999年に猪木会長時代の新日本プロレスに入門し、米WWEでも活躍。正式には引退していないが2017年にテレビマンに転身していた。弟子だから許された密着企画をNHKに売り込んだ。統括プロデューサーを務めたNHK編成局コンテンツ開発センターの松永真一氏は「持ち込み企画で番組を作るのは極めて珍しいやり方です」とNHKとしては異例の共同制作となった。

 「猪木さんは、取材させるとなると、半端にはせず、枕元でも撮影させてくれました」と松永氏。一時退院後の5月に盲腸捻転の疑いで緊急搬送される事態となった際には、救急車の車中にまでカメラが入っている。YouTubeでは映されることのない、まさにプロ対プロの真剣勝負だ。NHKでプロレスを扱うのも異例で、ムハマド・アリとの格闘技世界一決定戦の会見映像なども蔵出し。

 鈴木氏は自らリポーターのように出演し、同期の棚橋弘至らプロレス関係者にインタビュー。事務所ではカミソリで猪木氏のヒゲをそり「新弟子の時に伊豆の合宿で1人ずつ50万円小遣いをくれて、びっくりしました」と思い出話を披露。猪木氏は「非常識なことばっかり(やってた)、それが売りだと思って」と笑顔を見せた。

 「本当はこういう映像は見せたくなかったんですけどね。どうとるかは知りませんよ、見た人たちが…」と病床で弱々しい姿をさらけ出した“燃える闘魂”。ベッドでも非常識を演じているようにも見えた。(酒井 隆之)

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