【神宮大会】慶大が大学4冠ならず 指揮官に届いた意外なエールの送り主

スポーツ報知
4冠達成まであと1点届かなった慶大ナインは無念の表情であいさつ(左から3人目はソフトバンクドラフト2位指名の正木智也=カメラ・泉 貫太)

◆第52回明治神宮野球大会最終日 ▽大学の部決勝 中央学院大9-8慶大(25日・神宮)

 慶大側の応援席にわき起こった歓声が、ため息に変わった。終盤の猛追で1点差として迎えた9回、2死一、三塁。長打が出れば一気に逆転という場面で、3番・下山悠介三塁手(3年=慶応)の打球が右翼後方に飛んだ。だが、打球に伸びが足りず、白球は相手右翼手のグラブに収まった。東京六大学勢にとって悲願でもあった大学4冠は、またしてもお預けとなった。

 泣き崩れるナインを尻目に、主将としてチームを引っ張ってきた福井章吾捕手(4年=大阪桐蔭)は気丈に振る舞った。「キャッチャーが責任を負うべき点がいくつかあるなと反省しております。4冠という偉業に対して、そんな簡単じゃないと再認識できたと思ってます」。はきはきとした口調で、淡々と振り返った。

 ライバル校の無念も背負って戦った。秋季リーグ戦を制した数日後、堀井哲也監督(59)のもとに、神戸医療福祉大・高橋広監督(66)から電話があった。早大が15年に大学4冠に王手をかけながら、神宮大会決勝で亜大に敗れた際の指揮官だ。高橋監督は「野球人生に2試合だけ悔いがある」と切り出し、亜大戦での継投ミスを打ち明けた。

 サヨナラ負けを喫した延長14回に迎えた1死三塁のピンチ。高橋監督はマウンド上のエース・大竹(現ソフトバンク)に「あと1人で代えるからな。このバッターだけ頑張れ」と声をかけたという。すると、大竹は後続を遊ゴロに仕留め、本塁を狙った三塁走者を刺した。ピンチを脱したことで続投に方針転換しようとしたところ、大竹がマウンドから降りてきてしまい、継投を余儀なくされ、2番手が失点したのだという。

 堀井監督は言う。

 「『僕の不用意なひと言で…』とおっしゃってました。『そういうことがないように、悔いなくやってください』とも言っていただきました。うれしかったですね。六大学の仲間の、しかも早稲田の方からのエールでしたから。4冠への決意を新たにしました」。

 この日は、投手陣が中盤に崩れ、計9失点。それでも必死に踏ん張り、そして追い上げた。堀井監督は「中盤の失点は試合展開を読めなかった私の責任」と継投ミスを認めた。それでも「選手は本当によくやってくれました。春からずっとやってきて、よくここまで頑張ってくれたな、というのが本当に素直な気持ちです」と、晴れやかな表情でナインをたたえた。

 新チームには、この日一発を放った萩尾匡也(3年=文徳)や広瀬隆太(2年=慶応)、準決勝でサヨナラアーチを放った下山の野手陣に、この日先発した増居翔太(彦根東)に生井惇己、渡部淳一(ともに慶応)の3年生左腕トリオら、投打に主力が残る。大学4冠に挑戦するチャンスは、まだある。

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