里見香奈女流名人への挑戦権を獲得した伊藤沙恵女流三段「タイトルへの思いは自分がいちばん強い」

スポーツ報知
対局後の取材で涙を流しながら報道陣の質問に答える伊藤沙惠女流三段

 将棋の第48期岡田美術館杯女流名人戦(主催=報知新聞社・日本将棋連盟、特別協賛=(株)ユニバーサルエンターテインメント)の女流名人リーグ最終一斉対局が25日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、単独首位の伊藤沙恵女流三段(28)が香川愛生女流四段(28)に先手の85手で勝利してリーグ8勝1敗で優勝を果たし、里見香奈女流名人(29)=女流王位、女流王将、倉敷藤花=への挑戦権を獲得した。

 伊藤女流三段は1月に開幕する五番勝負で12連覇中の里見女流名人に挑戦する。女流名人挑戦は3期ぶり3度目。9度目のタイトル戦で悲願の初タイトルを目指す。

 挑戦権獲得後の質疑応答は以下の通り。

 ―挑戦権を得て。

 「自分が勝って決めたかった(敗れれば鈴木環那女流三段とのプレーオフだった)ので、今はうれしい気持ちです」

 ―今日の将棋は。

 「香川さんは決まった指し方をされないので、早々に準備を外されて。でも相手がどう、ということより自分が力を出し切れるように。昼休くらいの局面で自信はありましたけど、気を緩めると大変なことになるので緩まないようにと思っていました」

 ―再び里見女流名人との五番勝負になる。

 「挑戦から遠ざかっていたのでうれしいです。里見さんとは女流名人戦の番勝負でも他棋戦でも戦って強さは十分に分かっているので、自分がどれだけやれるかに懸かっていると思います。考えても仕方のないことを考えてしまいがちなので、将棋に集中して挑めればと思います」

 ―リーグ9局を振り返って。2回戦は前期挑戦者の加藤桃子清麗に敗れた。

 「いろいろ苦しい将棋もありましたし、勝ち切れた将棋もありました。加藤さんに負けた将棋も一方的にやられる将棋にはならず、やりたいことはできたのかなと思います。いろいろなことがあったので充実感もあって。将棋を楽しめている感覚があったのが今期は少し違ったのかなと思います」

 ―過去2度の挑戦(0勝3敗、1勝3敗)の記憶は。

 「里見さんの強さが際立つシリーズだったと思うので、なんとか今期は自分の良さや持ち味が出せるシリーズにしたいです。もちろん勝ちたい気持ちはあるんですけど、内容的なところで少しでも成長を見せられたらと。盛り上げられるようにすることが挑戦者の義務だと思っているので」

 ―今月12日にも里見女流名人と他棋戦で指して敗れている。

 「こちらが有利と判断して終盤を迎えましたけど、やはりミスすると許してくれない相手だな、と思いました。一瞬のスキが命取りになる。強いな、と思いました」

 ―9度目のタイトルを臨むことになる。獲得すれば、将棋史上最も挑戦回数を重ねてのタイトルになる。

 「自分の中では、女流棋士の中でいちばん(タイトルへの)思いが強いと思っています。獲りたい気持ちは最初に挑戦した時もありましたけど、数を重ねるごとに応援して下さっている方の思いも伝わっています。獲りたい気持ちは強いですけど、考えてしまうと力が入ってしまうので…。意識してしまうのは仕方ないと思いますけど、できる限りのことを盤上で表現する、ということに集中して指したいです。3勝しないといけないことなので、まだ考えるのは早いですよね」

 ―西山朋佳白玲が誕生して「2強時代」と言われるようになりましたけど、今月、加藤桃子さんが里見さんから清麗を奪取した。あの結果をどのような思いで見ていたのでしょう。

 「もちろん刺激になるというか、風穴を開けてくれたような気はしています。みなさん強いのは同じなんです。結果に結びつけられるかどうかで。加藤さんも相当に戦い方を考えて準備して臨んだと思います。2強と言われる時代を終わらせたい。私も一人になれたらと思っています。同じ奨励会出身で歳も近くて意識すると言えばするんですけど、自分との闘いになります。ただ、加藤さんが清麗を獲ったことで、頑張れば獲れることを示してくれた。自分も頑張れば希望はあるのかなと思います」

 ―師匠の屋敷伸之九段は最近「タイトルを獲るために何が足りないかは分かっているはず」と本紙観戦記で明かしています。

 「足りないところはいっぱいあって、だからこそ今まで結果を出せなかった。でも、数年前の自分より成長していると思っているので、盤上に表したいです。師匠にはいろいろと話を聞いてもらって…ありがたいと思っているので…すいません、泣いちゃいそう…(涙)。自分のために頑張るのがいちばんですけど、応援して下さっている方のためにも良い将棋をお見せしたいです」

 ―ワクワクする気持ちも?

 「今月、里見さんと指した時、負けてしまったんですけど、自分としては何か今までとは違うものを感じたので、五番勝負を経験できるのは楽しみな部分が多いです」

 ―「楽しめている感覚」に変化した理由は。

 「病気をして、予定していた女流名人戦の対局を延期していただいたことがありがたくて、感謝をして臨まないといけないなと思っていたので…。自分は将棋を指すことしかできないから…。一生懸命取り組んで結果にも繋がりましたし、良い状態で臨めていたのかなと思います」

 ―「女流ABEMAトーナメント」ではリーダーを務め、室谷由紀女流三段、石本さくら女流二段を率いている。

 「リーダーとしては相当頼りなくて、チームのみんなと監督(師匠の屋敷九段)には迷惑を掛けていて申し訳ないです。リーダーは他の人がやった方がいいと思っていましたけど、不安をチームメイトの2人と監督が振り払ってくれたので…(涙)。挑戦したくらいで泣いちゃダメですよね…」

将棋・囲碁

宝塚歌劇特集
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請