バイアスロン女子・前田沙理が目指す 北京冬季五輪で平昌に続く2大会連続 ~Roa〝道"to北京~

意欲の海外遠征で自分を磨いてきたバイアスロン女子・前田(自衛隊体育学校提供)
意欲の海外遠征で自分を磨いてきたバイアスロン女子・前田(自衛隊体育学校提供)
直前は仲間との強化合宿で鍛えてきたバイアスロン女子・前田(右、自衛隊体育学校提供)
直前は仲間との強化合宿で鍛えてきたバイアスロン女子・前田(右、自衛隊体育学校提供)
課題としていた射撃も成長中の前田(自衛隊体育学校提供)
課題としていた射撃も成長中の前田(自衛隊体育学校提供)

 来年2月4日開幕の北京冬季五輪で、倶知安町出身のバイアスロン女子・前田沙理(31)=自衛隊体育学校=は2大会連続出場を狙う。平昌大会での悔しさを胸に現役を続け、結婚を経て異例の長期海外遠征も敢行。「古谷で平昌、前田で北京」実現を後押ししてくれた学校や夫への思いを、W杯開幕戦(26日、スウェーデン)を前に、スポーツ報知に語った。(取材・構成=川上大志)

 成長を示すための五輪が近づいてきた。エステルスンド大会から開幕するW杯に前田も挑む。W杯を合わせた個人最高位は19年世界選手権(7・5キロスプリント)の14位。国別枠も個人の五輪切符も1月まで確定を待つが「W杯でポイントを重ねて自己最高位も更新したい。(リレー出場できる女子)4枠は絶対確保したい」と目標は明確だ。

 クロスカントリー出身。倶知安で育ち、2つ上の兄に付いていく形で小3からスキーを始めた。「近所で遊びに行くといえば雪山しかなかった」と笑うほど自然豊かな環境で力を付け、全国大会入賞常連の高校時代はフィンランド・ソトカモ高に競技留学、早大ではインカレ優勝も飾った。卒業と同時に「エンターテインメント性が高い」とひかれたバイアスロン転向を決意。特別採用の自衛隊では階級も周囲より1つ上の船出で「結果を残さなきゃ」と必死だったが、ケガも重なり、簡単な道のりではなかった。

 半信半疑のまま迎えた18年平昌は古谷沙理として初出場した。「五輪という場にふさわしい自分になれていない。往路の飛行機から既に悲しい気持ちだった」。精神面で受け身に回ると、7・5キロスプリント49位など思うように結果を出せず、女子リレーではペナルティーも味わった。悔しさだけが残り、応援に来た両親とも笑顔で会話はできなかった。

 「選手は平昌で最後とも思っていた」。沈みかけた心を奮い立たせてくれたのは18年5月に入籍した亮さん(30)だった。「沙理がやりたいならと背中を押してくれて。前田で北京を目指したいと思った」。同競技の選手だった夫は平昌後に現役引退し、現在は全日本のワックス担当を務める。それから3年半、2人分の思いも乗せて競技と向き合ってきた。

 全てを懸けると決めた北京五輪シーズン。6月からは休養返上で異例の長期海外遠征に踏み切った。「今までと同じことを繰り返していても強い自分になれない。一から作り直す格好になってもいいと行動した」。自衛隊体育学校所属が主な日本では訓練としての調整が通例だが、本場で腰を据えて鍛えたいという熱意をくみ取り、学校側も特例で認めてくれた。

 「選手として人として引き出しを増やしたい。将来指導者を目指す上でも選手のうちに挑戦したかった」。夏場で全日本チームの活動がなかった夫も帯同。オーストリア、ドイツ、イタリアを回り、9月からは高所トレも繰り返した。競技が盛んな各地で海外選手の姿を吸収。自信を持つ距離に対し、力みがちだった射撃の“脱力感”も体得できた。「これで戦っていくぞというスタイルも定まった。高所に弱いタイプだったけど平地と変わらず動けるようになった」と収穫は大きかった。

 右も左も分からなかった平昌から3年半余りが経ち、悔しさを晴らす舞台がやってくる。1人では実現しなかった海外遠征も通じ、手応えは一段と深まっている。「五輪がどういう場所なのか分かっているし、4年前の自分とはもう違う。納得いく結果で恩返しがしたい」。周囲への感謝の思いは、北京の地で表現してみせる。

◆W杯6戦で出場枠決定

 ◇五輪のバイアスロン スキーの距離とライフル射撃を組み合わせた競技で男子は60年スコーバレー、女子は92年アルベールビル大会から正式採用。個人5種目(〈1〉個人=男子20キロ、女子15キロ〈2〉スプリント=男子10キロ、女子7・5キロ〈3〉パシュート=男子12・5キロ、女子10キロ〈4〉マススタート=男子15キロ、女子12・5キロ〈5〉4人リレー=男子30キロ、女子24キロ)と、混合団体(女子6キロ×2、男子7・5キロ×2=計27キロ)で最大6種目に出場可。今冬海外遠征組は男女各6人。1月中旬までのW杯6戦で日本が獲得した国別枠数に応じ、その中から出場選手が決まる。

 <前田沙理>(まえだ・さり)1990年5月25日、倶知安町出身。31歳。倶知安北陽小3年時から少年団でスキーを始める。クロスカントリーで活躍した倶知安中、同高、早大を経て、自衛隊体育学校入りと同時にバイアスロンに転向。W杯は通算110戦出場。スルメ好きで欧州合宿に日本から合流した仲間のお土産は全てスルメだった。166センチ、56キロ。

意欲の海外遠征で自分を磨いてきたバイアスロン女子・前田(自衛隊体育学校提供)
直前は仲間との強化合宿で鍛えてきたバイアスロン女子・前田(右、自衛隊体育学校提供)
課題としていた射撃も成長中の前田(自衛隊体育学校提供)
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