第42回将棋日本シリーズJTプロ公式戦決勝・藤井聡太竜王(19)=王位、叡王、棋聖=対豊島将之九段(31)戦が21日、千葉市の幕張メッセで行われ、先手の豊島九段が95手で勝ち、大会連覇を達成した。
竜王を奪われて8日後、無冠となった豊島が四冠への逆襲に向け、価値ある1勝を挙げた。藤井相手に王位挑戦敗退、叡王失冠、竜王失冠とタイトル戦に全て敗れて7連敗中だったが、一矢報いてのV2となった。「今年、藤井さんと指すのは最後だろうと思ったので、良い形で終われたのでこれからにつないでいけたら」
3376人が見守った公開対局。持ち時間各10分の早指しながら角換わりの難解な将棋に。豊島が選んだのは果敢な指し手を貫くことだった。「迷いなく、とにかく前に出ていく将棋を指そうと」。勝負どころでの積極策が奏功し、勝機を手繰り寄せた。藤井は「どう対応するか分からず、指し手が難しかったです。(豊島の積極手は)予想外に厳しくて手段が難しかった」と振り返った。
決勝前、豊島が色紙に書いた揮毫(きごう)は「無倦(むけん)」。諦めることなく、倦(う)むことなく。多くの子供たちの前での勝利に、「諦めない姿勢を示せてよかった」と久しぶりに笑みを浮かべた。出口でファンを見送った勝者には「これからも応援し続けます」との激励の言葉が相次いで送られた。復活、そして逆襲への力強い第一歩になった。(北野 新太)