◆明治神宮野球大会 第2日 ▽高校。準々決勝 大阪桐蔭8―4敦賀気比(21日、神宮)
高校の部で、大阪桐蔭(近畿)の145キロ左腕・前田悠伍が2番手で6回を2安打10K無失点と好救援。圧巻の投球で逆転発進に貢献し、前日(20日)に高校通算48号を放った花巻東(東北)の怪物ルーキー・佐々木麟太郎退治に名乗りを上げた。
大阪桐蔭の1年生左腕が流れを変えた。4回から2番手で登板した前田は5回に3者連続三振を奪い、球場表示で自己最速まで1キロに迫る144キロをマーク。6イニングを2安打1死球無失点に抑え、二塁すら踏ませなかった。リリーフながら、あと1人で先発全員奪三振という10K。全国大会デビュー戦で勝利投手に輝いた。「(気負いは)全然なかった。いつも通り、楽しく伸び伸び投げられた」と涼しい顔だった。
これで秋季府大会準決勝(履正社戦)の4回以降、公式戦は30イニング連続自責点0(失点3)。敦賀気比の4番・上加世田頼希(うえかせだ・らいき)投手(2年)は「非常にテンポが良くて、ぼんぼんストライクを取ってくる。制球も良くて、1年生と思えない」と脱帽。西谷浩一監督(52)は「(神宮の硬いマウンドに)1球目から順応していた。頼もしく見ていた」と褒めたたえた。
打撃でも3―4の6回1死二、三塁で同点の左犠飛を放つなど1安打1打点。同じ1年生の花巻東・佐々木は20日の国学院久我山(東京)戦で高校通算48号ソロを含む3打点と活躍した。「対戦するとなった時は、同じ1年生なので負けていられない」と決勝での麟太郎退治に名乗りを上げた。
中日の米村アマスカウトチーフは「1年生にしては抜群。投手として全てを兼ね備えている。順調なら(再来年のドラフト)上位候補」と絶賛。根尾(現中日)、藤原(現ロッテ)らを擁して甲子園春夏連覇した最強世代も2017年の明治神宮大会はV逸。背番号14の“エース”が、4度目の出場で初優勝に導く。(伊井 亮一)
◆前田 悠伍(まえだ・ゆうご) 2005年8月4日、滋賀・長浜市生まれ。16歳。古保利小2年から高月野球スポーツ少年団で始め、6年でオリックスジュニアに選出。高月中ではボーイズリーグの湖北ボーイズでプレー。1年時に「カル・リプケン12歳以下世界少年野球大会」で世界一に輝く。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。持ち球は直球、スライダー、チェンジアップ、ツーシーム、カーブ。179センチ、75キロ。左投左打。