日本人高校生レベルだったケニア人留学生オニエゴが1万メートル27分台をマーク 最後の箱根路で雄姿を見たい

スポーツ報知
18年4月の日本デビュー戦で日本の高校生レベルのタイムで凡走した山梨学院大のオニエゴ(左)

 11月13日、横浜市の日体大健志台陸上競技場で行われた日体大長距離競技会の男子1万メートルで、武蔵野学院大のケニア人留学生、ワンジク・チャールズカマウ(2年)が27分18秒89の日本学生新記録をマークした。従来の記録は今年の9月20日の同競技会で拓大のジョセフ・ラジニ(3年)がマークした27分25秒65。2008年に山梨学院大のメクボ・ジョブ・モグスがマークした従来の日本学生記録(27分27秒64)を13年ぶりに更新したばかりのラジニの記録を早くも塗り替えた。

 私は同僚の太田涼記者とともに現場で観戦していた。無風で気温約12度。好記録が続出するため「スーパー日体大」と呼ばれる同競技会においても、私が知る限り、最高のコンディションだった。絶好の気象条件に恵まれたことは確かだが、それを含めても、チャールズカマウの新記録は称賛に値する。

 そして、私がチャールズカマウと同じくらいに、あるいは、それ以上に称賛したい選手が、山梨学院大のポール・オニエゴ(4年)だ。チャールズカマウと同じレースを走り、27分51秒59の好タイムで走破。自己ベストを37秒08も更新した。

 振り返れば、チャールズカマウの日本デビュー戦も、オニエゴの日本デビュー戦も、私は現地で見た。それは、あまりにも対照的だった。

 チャールズカマウは昨年11月、1万メートル記録挑戦会で、いきなり、27分30秒09の日本学生歴代2位(当時)の好記録をマークした。強風の厳しいコンディションで、しかも、独走だった。

 「とんでもなく強い留学生がやって来た」と私は衝撃を覚えた。

 一方のオニエゴの日本デビュー戦は18年4月、東海大長距離競技会だった。5000メートルに出場し、14分36秒35を要した。日本の高校生レベルのタイムだった。

 「とんでもなく弱い留学生がやって来た」と私は衝撃を覚えた。

 オツオリ、マヤカ、モグス…歴戦の先輩に比べると、山梨学院大11人目ケニア人留学生は、あまりにも心もとなかった。「チーム内で半分より下の走力でしたね」と当時コーチだった飯島理彰監督はオニエゴの入学時を苦笑いで振り返る。

 オニエゴの日本での競技生活は、苦闘と共に始まった。1年時は箱根駅伝予選会、本戦ともに出番なし。チームは本戦でワーストの21位に沈んだ。2年時の予選会でも出番なし。チームは17位と大敗し、初出場から33年続いた出場が途切れた。

 山梨学院大とオニエゴ。ともに背水の陣で迎えた昨季、そろって飛躍した。

 来日以来、結果が出ない時も地道な走り込みを続けてきたオニエゴは、ついに覚せいした。3年生にして初めて予選会に出場。ハーフマラソンを1時間2分7秒の自己ベストで走破し、チームトップの全体19位。山梨学院大は7位で通過し、箱根路への返り咲いた。オニエゴは本戦でも準エース区間の4区を走り、見事に区間賞を獲得した。

 そして、最終学年の今季、オニエゴはさらに成長し、1万メートルで27分台に突入した。

 「努力を続ければ強くなるということは日本人もケニア人も同じということを改めて知りました」。飯島監督の言葉に、私は激しく同意する。

 オニエゴは経営学部で学びながら日本語は「くもん」で勉強している。「もっと日本語が上手に話せるように努力しています」と生真面目に話す。

 大学入学から3年と8か月。オニエゴの成長度は、日本人選手を含めた今季のすべての4年生の中でも五指に入る。とんでもなく弱かったオニエゴが、最後の箱根路で、どれだけ強い走りを見せてくれるのか。楽しみだ。(箱根駅伝担当・竹内 達朗)

 ◆ポール・オニエゴ 1999年6月21日、ケニア・キシイ生まれ。22歳。12歳から陸上を始める。2018年にモゴンガ高から山梨学院大現代ビジネス学部(現経営学部)に入学。好きな食べ物は鶏肉、白米。趣味は読書。166センチ、51キロ。

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