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羽生結弦、ロシア杯欠場も「着実に前に進んでいきます」 また乗り越え、また強く

演技する羽生結弦
演技する羽生結弦

 日本スケート連盟は17日、フィギュアスケート男子で五輪連覇の羽生結弦(26)=ANA=がグランプリ(GP)シリーズ第6戦のロシア杯(26~28日・ソチ)を欠場すると発表した。「右足関節靭帯(じんたい)損傷」の回復が遅れているためで、北京五輪シーズンのGPシリーズは第4戦NHKと2戦続けての回避となった。前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)成功を目指す羽生は、「着実に前に進んでいきます」とコメント。初戦は五輪代表選考会を兼ねた全日本選手権(12月23~26日・さいたまスーパーアリーナ)となる見込み。

 羽生がNHK杯に続き、ロシア杯も欠場することを決めた。練習中に転倒し痛めた右足首の回復が遅れているため。日本スケート連盟を通じてコメントを寄せた。

 「応援してくださり、本当にありがとうございます。応援の声や想(おも)いに応えられるよう、全力で頑張っています。動きによっては痛みが出てしまいますが、日常生活では、痛みの影響がなくなってきました。まだスタートラインにはたどり着いていませんが、着実に前に進んでいきます。これからも、よろしくお願いいたします。がんばります」

GPシリーズ第6戦のロシア杯を欠場すると発表した羽生結弦。12月に行われる全日本選手権での復帰を目指す
GPシリーズ第6戦のロシア杯を欠場すると発表した羽生結弦。12月に行われる全日本選手権での復帰を目指す

 3連覇が懸かる北京五輪への挑戦を明言していない羽生だが、今季初戦は代表選考会を兼ねた全日本選手権となる見込み。回復が間に合わなかった場合について、竹内洋輔フィギュア強化部長(42)は、「選考の土台からは落ちない」と述べた。羽生は世界選手権で2度金メダル。表彰台には7度上がっている。過去に世界選手権3位以内の実績があり、また日本連盟が定めた世界ランキングでの選考基準を満たしているため(現在日本勢2番手の3位)、五輪代表入りする可能性は残る。竹内氏は「前回の平昌の時も、NHK杯でけがをして欠場というのがあった。4年前の経験もあるし、我々としてはしっかり回復してくれれば競技力を戻してくれると思っている」と話した。

 右足首は過去にも痛めた箇所になる。2018年平昌五輪前年の11月。NHK杯開幕前の公式練習中に4回転ルッツで転倒し、負傷した。18年11月のロシア杯ではフリー当日の公式練習で4回転ループの着氷で故障。試合後には「去年のNHK杯以降、より弱かった右足首がさらに緩くなってしまっているので。ほんのちょっとの衝撃でもすぐに捻挫になってしまう」と話していた。それだけに慎重に、競技会への復帰の時期を見極めていく必要がある。

 NHK杯の欠場を発表した今月4日時点では、「今は少しでも早く、氷上に立つことを目指し」とコメントしていたが、既に少しずつ氷上練習を再開している。着実に前に進もうとしている。今季は前人未到のクワッドアクセルの成功を最大目標に、練習を積んできた。試練を超え、夢へのスタートラインに立つ。(高木 恵)

 【記者の目】

 羽生が4日に連盟を通じて発表したコメントに、「今回の怪我(けが)からも、また何かを得られるよう考えてできることに全力で取り組みます」とあった。

 羽生らしいと思った。強さが言葉に詰まっていた。足を痛めた瞬間、ショックだっただろう。それでも現実を受け止め、前を向いた。けがをしてなお、そこから何かを得ようとした。

 4か月ぶりの復帰戦となった2018年平昌五輪で連覇を飾った。フリー後の会見で「自分の強みっていうのは、いろんなことを考えていろんなことを分析して、最終的にそれを自分の感覚とうまくマッチさせて氷上に出すこと」と話していた。

 これまで、何度もアクシデントや故障に見舞われながらも、乗り越え、強さに変えてきた。夢のクワッドアクセルへの挑戦は続く。羽生が思う羽生のタイミングで、競技会に帰ってくればいい。(フィギュアスケート担当・高木 恵)

 ◆羽生結弦の18年平昌五輪出場 17年11月9日、GPシリーズ・NHK杯の大会前の公式練習で4回転ルッツを跳んだ際に転倒。10日に「右足関節外側靱帯損傷」と診断を受け、欠場。同年12月24日、五輪代表選考会となる全日本選手権を欠場したものの、世界ランク1位などの実績から選考基準をクリアし、2大会連続の出場が決定。五輪連覇を達成した。

 ◆日本スケート連盟が定める、北京五輪代表選考における全日本選手権の位置づけ 「最終選考会である全日本選手権大会への参加は必須である。ただし、過去に世界選手権大会3位以内に入賞した実績のある選手が、けが等のやむを得ない理由で全日本選手権大会へ参加できなかった場合、不参加の理由となったけが等の事情の発生前における同選手の成績を上記選考基準に照らして評価し、大会時の状態を見通しつつ、選考することがある」

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