【巨人】ベンチワーク機能不全で9月以降大失速…連載「V逸の理由」<下> 

10月、戦況を見つめる原監督(左)、元木ヘッドコーチ
10月、戦況を見つめる原監督(左)、元木ヘッドコーチ

 8月25日の広島戦(東京ドーム)。直江が2回持たず3失点で、3戦連続KOを食らった。夏場にファームで結果を出し続け「後半戦のMVPを」と期待をかけられた若き右腕の2軍降格が決定。同時に信頼できる先発の枚数が5枚しかそろわなくなったことをきっかけに、9月1日のヤクルト戦(京セラドーム)で菅野が中5日で登板したのを皮切りに、近年描いていた「先発5人ローテ」を断行した。その一戦で勝利し、奪首に成功したが、シーズン途中で調整方法の変更を強いられることになった先発陣の勢いは長く続かず、急失速した。

 9、10月のチーム成績は10勝25敗8分け。その間には先発投手が22試合連続白星なしという球団ワーストタイ記録も作った。中5日、中4日での登板が続いた先発陣の早期降板で救援陣にも負担が増えた。それは大きく影響するものではあったが、原因を投手陣だけには押しつけられない。その時期に聞いた他球団スコアラーの指摘が的を射ていた。「投手にとって『1点も取られちゃいけない』というような重圧の中で投げることがどれだけしんどいことか、ってことだよね」―。

 同時期に、打線も深刻な不振に陥っていたことが、痛恨だった。9月以降だけで7度の完封負け。10月5日から16日までの1分けを挟んだ10連敗中、9試合が2得点以下。9月は丸、10月が坂本、岡本和と主力のバットも湿った。球団関係者が「投手は『打ってくれない』、打者は『先に大量失点を喫しては士気が下がる』、これでは信頼関係は生まれてこない」と嘆いた。

 ベンチワークにも、ほころびが生まれていた。指揮官にとって、最大の誤算が9月上旬に訪れる。石井野手総合コーチが球団幹部に今季限りで退団、他球団へ移ることを早々に申し出たのだ。チーム内の機密保持のため、10月に3軍へと配置転換し、代わってイースタン全日程を終えた阿部2軍監督を作戦コーチとして1軍に昇格させたが、少なからずチーム内の動揺はあったという。投手、野手、ベンチが同じ方向を向けず、「1巨人TEAM」が崩れていた末の急失速だった。

 そもそも今季、1軍のコーチングスタッフは、「攻撃、守備、走塁、全てに意見を言えるように」と狙った原監督の発案で元木ヘッド、さらに後藤野手チーフ、石井、村田と2人の野手総合を配置。だが、役割を大まかにまとめてしまった分、選手を迷わせた。「みんな何でもできるような優秀な人たちだったから総合コーチにしたけど、あれが失敗だった。みんなが責任転嫁するようになった」と指揮官は述懐する。10月5日から7日のヤクルト3連戦(神宮)が行われた間、当時2軍に降格していた中田を再生させようと、ナイター前にG球場に足を運び、3日間マンツーマン指導を行ったのは原監督自らだった。

 シーズン終盤のベンチワークの機能不全を、元木ヘッドコーチは「全て俺が悪い。ヘッドである俺の責任」と受け止めた。ただ、「過ちて改むるにはばかることなかれ」をよく口にする原監督が、柔軟性に欠けるタクトを振ったのも事実である。中5日の強行ローテを傷だらけになりながらやり通した。大きな経験を未来につなげていけた時、ようやく財産となる。(特別取材班)

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