11月12日、大阪・枚方で中学生の運転する自転車が70歳の歩行者男性と衝突し、男性が亡くなる事故が発生した。自転車が歩行者と事故を起こした場合、自転車の過失割合が高くなり損害賠償が高額になることがある。
国土交通省のデータによると、2013年7月4日に判決が出た小学生が無灯火の自転車で62歳の歩行者女性と衝突し、女性に後遺症が残ったケースでは9521万円の損害賠償が命じられた。
08年6月5日に出た判決では、高校生が乗る自転車が通行違反をし、24歳男性の乗る自転車と衝突し後遺症を負わせ、9266万円の損害賠償が命じられた。
同省のデータによると、17年の自転車年齢層別事故件数は19歳までが全体の38%を占めており、若年者の事故が多い傾向が出ている。
死亡事故においては、03年9月30日に出た判決で、男性が交差点進行中に38歳歩行者女性と衝突し死亡させ、6779万円の損害賠償が命じられた。
「自転車対歩行者」事故の歩行者死亡・重傷事故における自転車運転者の自転車損害賠償保険等の加入が確認されたのは約60%だったという。最近では、自転車損害賠償保険等の加入を条例で義務づける自治体が出てくるなど、促進の動きがある。
コロナ禍で自転車を活用する人も増え、子育て世帯でも保育園などの送迎で電動アシスト付き自転車が重宝されるなど、自転車を使う人は増加傾向にある。自転車関連事故は全体的には大幅に減少しているが、対歩行者との接触事故は横ばい。また、自転車対自転車の事故は近年増加傾向にある。
自転車は原則として車道の左側を走行するが、13歳以下の子どもや高齢者、またそれ以外でも車道走行が危険な場合は徐行したうえで歩道を走ることも法律上認められている。しかし、多くの場合で歩道を走らざるをえない日本の道路事情がある。自転車に優しい環境のオランダやドイツなどと違い、自転車専用道路が設置してある道路は日本中探しても少ない。路上駐車も多く、その車を避けて進むには道路の真ん中まで出なければならないがこれは極めて危険なため、歩道に上がらざるをえない。自転車と歩行者が歩道で共存するのは難しいが、今の道路環境で自転車歩行者双方のマナーとの思いやりで対応していくしかなさそうだ。