◇GPシリーズ第4戦・NHK杯 男子ショートプログラム(11月12日、東京・代々木第一体育館)
2018年平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(トヨタ自動車)は、今季世界2位となる102・58点の高得点をマークし、首位発進した。冒頭の4回転フリップは、高いジャンプで着氷。4回転―2回転の連続トウループ、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も着氷した。2本目の連続トウループの後半が3回転から2回転になった影響からか、演技後は首をひねったり、照れ笑いしながら頭をかく仕草を見せた。スケートアメリカ優勝のビンセント・ジョウ(米国)が2位に続き、山本草太(中京大)は86・05点で5位、三浦佳生(東京・目黒日大高)は76・62点で8位となった。SP後の宇野の一問一答は以下の通り。
―SPを終えての感想は。
「う~ん、そうですね。率直な感想としては、あの、できのいい悪いではなく、どんな理由であれ、セカンドのトリプルジャンプをダブルにしてしまったという結果が。悔しいというか、よくないなって。その、今シーズンはまだまだ長いです。今は、まとめにいく時期ではない。わかっていながらも、空中の1つ目のジャンプの少しのブレから、気持ちが、その、そうですね。挑む気持ちというのが、そこで少し足りなかったのかなと思います」
―フリーに向けて。
「そうですね、改めてこのSP、振り返ってみれば、わりといい演技だったのかもしれません。でも、いま僕がこうして満足していないというか、少し自分の演技に不服に思っているというのは、いま、いい演技をしたいという気持ちよりも、成長できる試合にしたい、そういう気持ちが強いんだと思います。フリーで、まとめ、あの、いい演技をしたいとは思っていますが、たとえ失敗していても、成長できるような、フリープログラムを最後まで滑りきりたいです」
―久しぶりの100点超えのうれしさよりも、挑戦しなかった悔しさの方が大きい。
「そうですね、正直な感想としては、一つ目のジャンプが乱れた。だからダブルトウループにしたそう思いたいと思っている自分と、結果としてあの4回転トウループの着氷は、トリプルトウループ跳べたなって。映像を見ても思いました。総合的に振り返り、自分の気持ちと照らし合わせると、やはり、この試合でいい演技したい、いい点数とりたい、いい順位とりたい、
もちろんそういう気持ちはあります。でも、先ほどいった通り、今シーズン本当に成長できる、僕が世界のトップで戦えるシーズンにしたいと本当に思っています。そのために、この試合は失敗してもいいとは言いませんけども、失敗を恐れずにもっと挑戦するべきだったかなと思います」
―空中でぶれた原因は。
「う~ん、えっとですね。朝の公式練習から、結構あのようなジャンプが多かったんですよね。練習なのでトリプルトウを跳べていたけど、一つ目のジャンプを、自分が空中でどこにいるか分からない。公式練習の最後のトウループはいつも通りの自分のジャンプが跳べていました。あれがコンスタントにできていれば、3回転トウループをつけることができたのかもしれないですけれど、結果を振り返ってみれば、一つ目の4回転トウループを、試合ではなく、練習からどう修正するか。あの、試合は練習を修正できなかった形になったものの、たくさん練習してきているだけあって、その、自分が良く分からない方向にいってもちゃんと立っていたという事実もあります」
―3回転のこだわり。練習の意識付けとかはどうか。
「えっと、まず、エキシビション、アイスショーなどで、トウループを増やす。
まず、僕はトウループが練習での成功率に比べて試合があまりにも低い、そういうのがあったので、
アイスショーから、失敗してでも取り組み続ける。それが一つと、練習も単発を跳ばない。なので、フリーも今年4―3と4―2にしたんですけど、そういった理由があって、練習も本番も、全部コンビネーションにする。そういうのが今年やっていた練習で、それがあったからか、コンビネーションジャンプの苦手意識っていうのは全然なくなったものの、やはりこういう一つ目のジャンプ、で自分を見失ったときにやはり頼ってしまったのがダブルトウループ。それが、もっともっと、なんだろう。まとめなきゃいけない試合があるかどうか分からないですけど、今は、成長したいと思っているからこそ、挑戦するべきだったなと思っています」
▶以下、記者会見
―試合を振り返って。
「えー、点数演技、全体にみれば、最近の試合、ここ数年の試合の中ではいいものだったと思いますが、僕は、今もっと成長したいという意思でスケート、まあ練習試合ともにやっています。にも関わらず、そのー、4回転2回転にしてしまった。その事実が、今は少し自分の残念な気持ちにつながっています」
―スケートアメリカに続き、宇野選手とジョウ選手はレベルの高いSP終えて、お互いの意識はあるか。フリーへの意気込みを。
「えー、試合とは関係ないところかも知れませんけれども、この前のアメリカ大会でビンセント選手は、そのー、出ている選手の中で一番、プログラム、SP、フリーともに滑り込んでいる。多分、僕は全員の選手を見ていないから分からないですけど、見る限り、多分このシーズンオフ、そしてアメリカ大会まで、誰よりも練習していたいんだなっていうのが練習から見て取れました。いつか、日々の練習を見る機会があれば、その練習を見て、それいじょうに練習できる精神力を持って練習に励みたいって思ってます」
―スケートアメリカ後の靴の話。エッジがずれると言っていたが、今回も問題あったか。
「えー、まあアメリカ大会終わってから、ずれた靴にねじをプラス4本入れて、まあほぼ動かないようにしたんですけども、日々練習していく中で少しずつずれていってしまう。ただ、この大会での失敗につながったわけではなく、あの-、今結果としてエッジは大きくずれていないので、靴もすごく良い状態なので、失敗はもっとまたこの試合が終わったら、トウループってものをちょっと深く向き合ってどう対処していくかまた考えたいと思います」
―女子選手の実力上がっている。エールを。
「うーん、まず、えっとー、もちろん男子の方がジャンプの技術の発展っていうのは、早かったと思いますけど、今女子のトップを見たときに、多分は僕たちと同じ構成でやっているので、そのエールをあげる立場にまずいないというか。あの、僕がジャパンオープンに出る前ですかね。トルソワ選手のどこの大会か忘れたんですけど、見たときに、僕が毎日全ミスするようなフリー必死にやっているときに、軽々とまとめてたので。後半にルッツ跳んだりって。ほんとにエールを送っていただくのは僕側だと思いますけれども。ただほんとに男子は力があるので、あのー、けはありますけど、女子よりもけがしにくいのかなと思うので、今大会もけがしている選手もたくさんいると思うので、やはり技術の発展とともにリスクっていうのは大きく伴うのかなって思うので、みんなが、その、ベストな状態で、スケートというものを大きく見たときに、大きく振り返ったときに、楽しかった良かったなと思ってスケートを引退してほしいなって。なんか、引退まで大きいですけど、そこはほんとにそう願っています。けがはほんとに、ほんとにつらいので」