東京五輪代表・多田修平、小池祐貴らを支えた2億8000万円の支援 大阪陸上界への熱意に選手も涙

「OSAKA夢プログラム」の事業報告会に参加したメンバー。後列左から丸山優真、多田修平、小池祐貴、前列左から佐藤友佳、川田朱夏
「OSAKA夢プログラム」の事業報告会に参加したメンバー。後列左から丸山優真、多田修平、小池祐貴、前列左から佐藤友佳、川田朱夏

 陸上短距離で東京五輪代表の多田修平、小池祐貴(ともに住友電工)らが名を連ねていた「OSAKA夢プログラム」の事業報告会が12日、大阪市内で行われた。

 大阪陸上競技協会による通称「夢プロ」が始まったのは2015年。その2年前に開催が決まった東京五輪に地元選手を送り出すのが狙いで、島津勝己ゼネラルマネジャー(GM)は「東京だけで盛り上がらせたくない。大阪も絡みたかった」と本音を明かした。

 大阪ガス、阪急電鉄など現在では50を超える協賛企業・団体や、150人以上の個人寄付により、20年までの5年で毎年5000万円が集まった。五輪が1年延期されたため、3000万円を追加。合計2億8000万円の活動資金で選手の成長を後押しした。

 出身、練習拠点など大阪にゆかりのある22選手が15年の第1期生に選ばれた。その中に当時、関西学院大1年の多田修平もいた。

 大阪桐蔭高時代は高校総体などでの優勝経験はなし。「無名で、本当に僕でいいのかと…。五輪で日の丸を背負って戦えるのか、って思っていました」。夢プロの活動として海外や施設の整った国内へ遠征し、また日本に招へいされた外国人コーチの指導を受けて開花。17年には世界陸上代表に入り、100メートルで準決勝に進み、400メートルリレーでは銅メダルメンバーとなった。

 22人でスタートしたメンバーは少しずつ絞られ、今年度は7人。多田は、女子やり投げの佐藤友佳(ニコニコのり)と2人だけ初年度から選出され続けた。「遠征に行って、最初は黒人選手とか体が大きくてビビってましたが、何度も行って慣れて『スタートは通用する』とか思い始めました。夢プロがなければ、今のような成績は残せていない」と感謝の言葉を口にした。

 小池はANAから住友電工に移籍し、関西拠点となった18年からメンバー入り。「主に学生の支援かと思っていたら、五輪選手を出すことをメインにしていた。(協賛の)一覧を見て、都道府県単位でここまでやってるのはすごいと思いました」。各企業・団体が、実業団所属選手もサポートする異例の取り組みに、大阪陸上界への熱意を感じ取っていた。

 また、十種競技のホープ・丸山優真(住友電工)は日大時代の17年からメンバーに入っているが、19年に胸椎椎間板ヘルニアで長期離脱し、東京五輪が遠のいた。報告会では、涙を流しながら「一時は競技を断念しそうになっていました…。でも(夢プロ関係者に)『焦らずにしっかり治してね』と声をかけていただきました。皆さんへの恩返しはパリ五輪出場。必ず実現します」と誓った。

 6年に及ぶ今回の取り組みは、多田と小池の2人が五輪出場という最終結果になった。「一定の成果は認めてもらっています」と島津GM。今後、予算規模は縮小する見通しだが、24年パリ、28年ロサンゼルス五輪へ、大阪陸上界の夢は続く。(武田 泰淳)

 ◆今年度の夢プログラム指定競技者 多田、小池、丸山、佐藤の他、女子マラソンの松田瑞生(ダイハツ工業)、女子400メートルの青山聖佳(大阪成蹊大AC)、同400・800メートルの川田朱夏(東大阪大)の7選手。

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