客足戻る劇場の観客と役者の声「やっと来られた」「一番やりたいのは観客を前に芝居すること」

スポーツ報知
仲村トオル

 都内で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が解除されてから約1か月半、映画館や劇場にもだんだんと活気が戻りつつある。

 記者は、これまで社会班で都政などを取材しており、9月から芸能担当になった。社会記者時代には、度重なる時短・休業要請などを受け、行政に対して「このままではエンタメ産業は死んでしまう」などといった業界からの悲痛な訴えを耳にしてきた。

 それらの訴えは、興行収入など経済的な損失によるところが大きいと考えていた。だが、そればかりでなく観客の前で作品を上演する意義やエンタメの本質のようなものを日々肌で感じている。

 「一番やりたいのは、お客さんの前で芝居をすること。ほかのものは無くてもいいかなと思うくらい」―。先月、俳優・仲村トオルのインタビュー時に聴いた言葉が印象的だ。

 仲村は、8~9月に会場収容50%の制限が付けられた舞台「砂の女」に出演した。「ようやく迎えた初日に、半分しか埋まっていない客席をみるのは初めてだったし、ひるむんじゃないかとか、残念に思う感情が芽生えるんじゃないかと思ったりもしたんです」。しかし、抱いた不安はいい意味で裏切られたといい、「カーテンコールで頂いた拍手が本当に素晴らしい音で。50%のお客さんだけど、今まで聞いた拍手の300%増しに聞こえた。泣きそうでした」と目頭を熱くしながら振り返った。

 仲村だけではなく、久しぶりの有観客イベントで、満員の客席を前に感極まる役者や、「ようやく来られた」と席につき、「手痛くなってきちゃった」と言いながらも拍手で役者陣に思いを送る観客も現場で目にした。マスク着用厳守、リアクションは拍手のみと制限も多いが、エンタメの現場は着実に一歩ずつ動きだしている。

 一方で、コロナ禍でさまざま事情を抱え、いまだ現地でのライブや演劇などの鑑賞がかなわない人も少なくない。記者としては、現場で感じた製作側の熱量やライブ感を原稿を通して少しでも感じてもらえるよう、役者の言葉だけではなく、劇場の音や空気にも目や耳を向け、つぶさに伝えていきたいと思う。(記者コラム)

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