瀬戸内寂聴さん 記者が悼む ショーケンに「お互いに色気は感じてる」…鮮烈だった現在進行形の言葉

スポーツ報知
瀬戸内寂聴さん

 小説「夏の終り」などで知られる作家で天台宗の尼僧の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう、旧名・瀬戸内晴美=せとうち・はるみ)さんが9日午前6時3分、心不全のため京都市内の病院で死去した。99歳だった。10月に体調を崩し入院していた。自らの不倫経験や性愛も包み隠さず著書につづり、流行作家として活躍するさなか、51歳で得度(出家)。執筆の傍ら尼僧としても精力的に活動し、ユーモラスな法話でも人気を博した。葬儀は近親者のみで営まれ、後日都内で「お別れの会」を開く予定。

 * * *

 寂聴さんの目の前に座った1分後、私の緊張は幸福感に変わった。「最近ね、ゲイバーでブランデーを1本空けて帰ったら、2階から転げ落ちて『お岩さん』のような顔になってね。骨が折れて右半身が動かなくなって。医者に『手術します?』って勧められたけど『今さらねえ』って。回復力はあるの。でも、ついでに鼻を高くしてもらおうかな、なんて思ったわよ」。楽しげな声で笑う尊顔を見て、私の心を包んだのは深い安らぎだった。

 2008年12月。自ら責任編集した雑誌「the寂聴」創刊時にインタビューをした。当時86歳。こちらは28歳。「若い人と会うのは好きなの。自分の気持ちも若くなるじゃない?」。最初の一言に救われた。「私だって心の年齢はまだ30代くらいよ。青春を過ぎた頃かな。ときめきたくて」

 必ず聞こうと決めていたのは萩原健一さん(19年死去)との今について。1983年、大麻事件で逮捕されたショーケンを寂庵にかくまった時から母子のような間柄は続いていた。「ショーケンはおバカちゃん。元恋人とか元奥さんからは『付き合わない方がいい』って言われたけど、私は才能のあるダメ男が好きなのね。お互いに色気は感じてる。男と女の間なんて色気がないとダメなの」。お互いに色気は感じてる―。現在進行形の言葉はあまりに鮮烈だった。

 取材中、自ら死について語る時が何度もあった。「死ぬ時は10人ぐらいの若くてカッコイイ編集者にお棺を担いでもらおうと思ってたのに、みんな定年になって腰が曲がっちゃってる。今はよく『祖母がファンです』なんて言われるの。ヤになっちゃう。情熱を燃やして生きてるから、何かの途中にポクッと逝きたいわ。ウダウダ生きるのはイヤなの」

 新しい雑誌の表紙に書いたサインは「若き日に薔薇を摘め」。棘(とげ)で負う傷も、いずれは癒える。ならば美しいものを。訃報に接し、あの言葉を思い出している。(北野 新太)

芸能

宝塚歌劇特集
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×