日本ハムのビッグボス・新庄剛志監督(49)が10日、新たな練習として“シャッフルシートノック”を取り入れた。沖縄・国頭(くにがみ)秋季キャンプ視察の最終3日目。セ・パともにCS最終Sが始まるため「話題は控えます」と宣言したが、この日はド派手なパフォーマンスは封印し独自の練習でチームに刺激を与えたビッグボス。収穫と手応えをつかんだ初視察となった。
球場到着時の言葉とは裏腹に、グラウンド上では見慣れない光景が広がった。この日からセ・パともにCS最終Sがスタートするため「話題は控えます」と話していたが、シートノックでは捕手が外野、外野手が内野、内野手も一部ポジションがシャッフルされた。
スタンド席に座り、練習開始を待っていたビッグボスは「たった9個しかないポジション。守れる幅を広げてほしい」と狙いを説明。実際自身も阪神入団直後に本職の外野手ではなく、遊撃で守備練習を行い、三塁手、遊撃手が負傷した時にそれぞれの場所で出番をつかみ、正遊撃手の復帰と同時期に外野手が不調になったことで本職でチャンスをつかんだ経験がある。
さらにその最初の試合で好守備を連発し、一気にスター街道を駆け上がった。「ずっと外野をやっていたら1軍に上がれなかった」と振り返るほど、他のポジションを経験することは利点が多い。「もしかしたら今日、外野の子が内野を守って、したことがなくても使えるんじゃね? と思ったら使ったらいい。たぶん選手も面白いと思うんですよ。『俺、できんのかな』と」。そう期待したビッグボスの言葉通り、選手たちは躍動感あふれるプレーをみせた。
中堅に入った捕手登録の5年目・郡が本塁へワンバウンドでストライク返球を見せると「いいね」と何度も拍手。三塁に配置された外野手の万波がゴロを処理して矢のような送球を一塁へ投げると「伸びてる、伸びてる」と笑顔。「違うポジションを知ると、愛情を持った返球ができる」というこの練習は春季キャンプでも導入されそうだ。
「ここからまた鎌ケ谷で練習している子たちが入ってきて、いろんなポジションを守らせて、僕のこの脳で『やってみないか、やってみないか』と(考える)面白さはめちゃくちゃ面白い」
ビッグボスと若手選手が過ごした中身の濃い3日間は、必ず来シーズンにつながるはずだ。(後藤 亮太)