【掛布論】完封の奥川はまるで「精密機械」北別府!左右、高低だけでなく緩急も使える

スポーツ報知
完封勝利の奥川恭伸(カメラ・頓所美代子)

◆2021JERA クライマックスシリーズ セ 最終S第1戦 ヤクルト4―0巨人(10日・神宮)

 セ・リーグ覇者のヤクルトが、巨人に快勝。先勝して、アドバンテージを含めると2勝0敗となった。先発の奥川恭伸が、たった98球でプロ初完投、初完封の好投。打っては初回にサンタナの2ランなどで3点を先制すると、7回に塩見がダメ押しとなる適時二塁打を放った。

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 奥川の投球を褒めるしかない。シーズン中は登板間隔を空けて大事に育てられ、その期待に応えて成長。託された大舞台で最高の結果を残した。

 わずか98球での完封。ストレートに切れがあり変化球の精度も高い。球数が少なく済むのは、ストライクゾーンからボール1個分外したところに投げる制球力があるからだ。ボール2個外れていれば打者が見逃せるが、ボールひとつなら振らざるを得ない。左右、高低だけでなく、緩急を使った奥行きも使える。私の現役時代に精密機械と称された北別府(広島)のような投手だ。

 打席での落ち着きも素晴らしい。7回無死二塁の打席では、3ボールからのファーストストライクで確実にバントを成功させた。巨人の山口が3回1死一塁からバントを決められなかったのと対照的だった。セ・リーグの投手は投げるだけが仕事ではない。

 巨人は岡本和が不在の影響を強く感じた。そして、その穴を埋めるべく、チームの顔の坂本の元気のなさが気がかりだ。初回に風で流された打球を深追いして犠飛のようになったのは、精いっぱいのプレーで仕方がない。本来は左翼手のボールだった。心配なのは相手にプレッシャーを与えるスイングができていないこと。阪神戦から詰まらされるか、泳がされるかで、結果だけでなく内容も悪い。

 星ふたつ分を先行された巨人は苦しくなったが、2戦目を取ればまだ分からない。奥川に再びこの投球をされればノーチャンスだが、最後まで投げさせたということは、6戦目までもつれても中4日の先発はないということ。1番の松原が出塁を重ね、クリーンアップがかえす攻撃のリズムを取り戻せば、流れが変わる可能性はある。(スポーツ報知評論家・掛布雅之)

 ◆北別府 学 1976~94年に広島で通算213勝を挙げた右腕。ホームプレート上に横に並べた空き缶3個を、マウンドから3球で倒すほどの抜群のコントロールが武器で「精密機械」と称賛された。3年目から11年連続2ケタ勝利を記録。20勝した82年、優勝した86年に18勝で沢村賞。12年に野球殿堂入り。

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