「コア視聴率」って何?日テレがいち早く導入、他局が追従も“ものさし”に差…世帯・個人との違い

民放各局が重点ターゲットとする年齢層
民放各局が重点ターゲットとする年齢層

 テレビの視聴率に“変化”が訪れている。1960年代に始まり、従来の指標だった世帯視聴率に加え、個人(全体)視聴率が公表されるようになった。さらに、テレビ各局が重点ターゲット層を“抽出”した「コア視聴率」まである。6月にダウンタウン・松本人志(58)が6月に自身のツイッターで、「コア視聴率」が重要な指標であると訴え、認知が広まった。それぞれの違いを説明するとともに、テレビ業界の変化を伝える。(特別取材班)

 視聴率って何だろう? 世帯視聴率、個人視聴率、コア視聴率…。ダウンタウン・松本のツイッターでのつぶやきが大きな話題を呼んだ。6月だ。「ネットニュースっていつまで“世帯”視聴率を記事にするんやろう? その指標あんま関係ないねんけど…」。ある番組の世帯視聴率が振るわなかったというネット記事に反応。続けて「コア視聴率が良かったんです。コア視聴率はスポンサー的にも局的にも今や重要な指標なんです」とつぶやいた。“コア視聴率”なるものが俄然(がぜん)注目を集めた。

 まずは、視聴率の歴史をおさらいしたい。ビデオリサーチ(VR)は1962年12月に東京23区で世帯視聴率調査を始めた。世帯に1台あるテレビがどれだけ見られているか。その後、77年のオンライン化で1世帯3台が対象となり、97年4月には8台を対象とした。それぞれ関東地区からスタートし、調査世帯数を増やし、全国へと広がった。その歴史もあり、ほとんどの人が視聴率といって思い浮かべるのは世帯視聴率だ。

世帯視聴率と個人視聴率の算出の違い
世帯視聴率と個人視聴率の算出の違い

 一方、個人視聴率調査も歴史が古く、66年に関東地区でスタートしたが、日記式で調査世帯も世帯視聴率とは別だった。97年4月にピープルメータ(PM)というシステムで、世帯視聴率と個人視聴率の同時調査が可能に。その後、関西地区(01年)、名古屋地区(05年)と広がり、20年4月に全国32地区で同じ調査ができるようになった。日本全国で調査方法が同一となったため、VRが世帯視聴率に加えて、個人視聴率の広報を始めた。

 個人視聴率の集計が広がったことで、全国推計視聴数(番組を見た人の平均人数)や、平均推計到達数(1分以上視聴した累積数)の算出が容易になった。東京五輪などで報じられた「全国で何千万人が見た!」などの集計が容易になった。

 個人視聴率は、視聴している年齢や性別が分かるため、個人全体視聴率だけでなく、T層(男女13~19歳)、F1層(女性20~34歳)などといった区分で“抽出”することもできる。主に広告業界がマーケット用に重視している区分けであり、CMスポンサーの獲得などに重視されている。

 その“区分け”をテレビ局が独自に設定したのがいわゆる“コア視聴率”だ。日本テレビが2004年頃にいち早く導入。男女13~49歳を重点ターゲットとして定義、「コアターゲット視聴率(コア視聴率)」の指標を打ち出した。同局の田中宏史編成部長は「全ての年齢層の皆様に楽しんでいただける番組作りを目指すための指標として利用するようになりました」と、導入のきっかけを説明した。

 その成果について、田中編成部長は「新たな指標が示されたことで、より早くコア層をターゲットに据えた番組制作を行うことができました。またセールス面では、デジタル媒体などの興隆が起きていた時期に、テレビの媒体価値が求められる中、スポンサーが求める視聴者層への訴求にいち早く呼応することができました」としている。日本テレビは個人視聴率で11年から20年まで10年連続で3冠。世帯視聴率では14年から19年まで6年連続で3冠を獲得している。【※3冠 全日(午前6時~翌日午前0時)、プライム(午後7~11時)、ゴールデン(午後7~10時)の各時間帯で1位】

 重点ターゲットの概念は各局にも広がりを見せた。TBSは15年3月から「ファミリーコア」(男女13~59歳)を設定。その後、今年4月から「新ファミリーコア」(男女4~49歳)として“若返り”を図った。TBSは「より若いファミリー層に楽しんでいただける番組を増やし、次世代の視聴者を獲得していくことが重要だと判断したため」と、変更の理由を説明している。

 フジテレビは昨年10月から「キー特性」(男女13~49歳)を設定。「日本の人口分布の高齢化に伴い、テレビ視聴者のボリュームゾーンも上の世代に移っていますが、我々はマスメディアとして、なるべく多くの世代の方々に見ていただきたいと考えており、(必然的に上の世代のボリュームが大きくなる)『個人全体視聴率』だけでは分からない、より広い世代の方々に見ていただけているかということを重視するためです」と理由を説明。テレビ朝日は「ファミリー層」(男女13~59歳)を重点ターゲットに定めている。

 今年の10月から、日本テレビは「コア視聴率」の広報に踏み切った。「弊社は『家族視聴』、そして次世代のテレビ視聴者開拓を目指した『若年層視聴』も重視する編成戦略をとっているため、重要な指標の一つとして開示することに致しました」(田中編成部長)。

 日テレとフジの重点ターゲット層は同じだが、各局で名称も年齢層も違う。テレビ離れの若年層の掘り起こしという目的は各局同じだが、戦略上、年齢層は異なっている。VRも個人全体視聴率のみの広報のため、「コア視聴率」は広報せず、比較対象にはなっていない。

 さらに世帯→個人を重視する流れは加速する。CM取引に使われる指標も世帯視聴率ベースから個人視聴率ベースに変わり、現在は、「P+C7」という指標で、リアルタイムの個人視聴率に、7日間のCM枠平均タイムシフト視聴率を加えたものになっている。

 日テレ・田中編成部長は「弊社としてはコンテンツパワーを正確に表現し、テレビの価値をより正しく捉えるためには『世帯視聴率』より『個人視聴率』、『視聴世帯数』より『視聴人数』を重視すべき、と考えています」としている。

 各局でも高視聴率を通知する掲示などは「ALL(個人全体視聴率)」「コア」の文字が躍り、「世帯」の文字はない。それだけ個人視聴率にシフトしているといえる。

 現在、各局の視聴率を単純比較するために適しているのは「個人視聴率」といえる。ただ、視聴者が一般に慣れ親しんでいる世帯視聴率と比べて、個人視聴率は数字が“目減り”する(世帯視聴率の5~6割)ことや、過去の番組などとの比較ができないこともあり浸透はしていないのが現状だ。

 ◆“世帯”と“個人”で順位も変わる

 〇…10月18~24日までの視聴率の集計も世帯視聴率と個人視聴率では順位が変わる。

 世帯では1位がNHK総合「連続テレビ小説・おかえりモネ」(16・4%)、2位がテレビ朝日「木曜ドラマ・ドクターX~外科医・大門未知子」(15・9%)、3位がTBS「日曜劇場・日本沈没・希望のひと」(15・7%)と続くが、個人では1位にテレ朝「ドクターX」、TBS「日本沈没」がともに9・4%で並び、「おかえりモネ」は4位(8・9%)に。3位は世帯4位(14・8%)の日テレ「ヒューマングルメンタリーオモウマい店」が9・3%で1位に肉薄している。

 また11位以下でも、TBS「サンデーモーニング」(世帯12・8%=12位→個人7・2%=15位)、日テレ「世界の果てまでイッテQ!秋の2時間SP」(世帯10・6%=21位以下→個人7・3%=14位)のように、世帯と個人でも順位が大きく変わるケースもある。

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