「泣ける」要素が増した「ヴァイオレット・エヴァーガーデン特別編集版」

スポーツ報知
仕事の中で愛の意味を知る主人公のヴァイオレット・エヴァーガーデン(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 29日の金曜ロードショー(後9時)は、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン特別編集版」。2018年の1~4月までTOKYO MXなどで放送されたアニメを石立太一監督自らが監修し、”新作”として生み出した。

 ヒロインのヴァイオレットは孤児だったことから軍に拾われ、「戦闘マシン」として育てられる。自らを「道具」と認識して感情を表に出すことを知らず、他人の気持ちを理解することができないままに重傷を負って終戦を迎えた彼女は、手紙を代筆する「自動手記人形」の職に就く。そこでヴァイオレットは、戦場で上官のギルベルト少佐に告げられた「愛してる」という言葉の意味を探す―というストーリーとなっている。

 元のTVアニメは30分番組で13話が放送されたことから、これを90分強にするには、大胆な”刈り込み”をしなければ成り立たない。今回は物語の序章にあたる第1~3話までと、ファンの中で人気の高い第7、9、10話を中心に構成されている。

 「作品の短縮」といえば、「金ロー」をはじめとする映画を放送する番組で「本編ノーカット」がほとんど行われていなかった過去には、作品をカットすることは当たり前だった。記者も子供心に「何か物語がつながっていないな…」と感じたこともあれば、立ち位置の分からない人物がいきなり登場して「?」となったこともあった。後になってDVDなどで作品を再見し「謎が解けた」ことも一度や二度ではなかった。

 今回は前述の通り監督自らが監修を務めていることから、その不安は皆無。それどころか、TVアニメ版とは全く印象の異なる別の作品として見ることができ、改めて魅力を感じることができるかもしれない。

 その最大の理由は、11~13話の内容をカットしている点。この終盤の3話では、ある事件をきっかけにヴァイオレットが自らの過去と対峙(たいじ)し、決別する姿が描かれているが、特別版ではそこをバッサリ切って違う形でのエンディングとした。これにより、本作を紹介する時に”形容詞”として付けられる「大人も泣けるアニメ」であることが、より強調された。

 とはいえ、「泣ける」だけでこの作品を語ることは足りないのではないかという思いもある。戦いに明け暮れ、感情を知らない主人公が、周囲の環境の変化や出会いなどから「人間らしさ」を取り戻していく―という重厚なテーマが置き去りにされ、「泣き推し」にされがちなのは残念なところだ。

 個人的には、本作は「シルベスター・スタローンの代表作『ランボー』を、少女を主人公にしたらこうなった」という印象なのだが…。これを前面に押し出せば、新たなファン層を獲得できると思うのだが、それは”乱暴”な考え方ですかね?(高柳 哲人)

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