【ヤクルト】「最下位なんてケシカラン」ノムさんの怒りから838日 強い燕が帰ってきた…野村番コラム

スポーツ報知
代打で打席に立った野村克也監督(左から真中満、川崎憲次郎、1人おいて古田敦也、池山隆寛(カメラ・清水 武)

 雨上がりの夜空に響いた、ボヤキが忘れられない。

 「最下位なんてケシカラン。こんなにお客さんが入って、それを現場の人間がどう感じるかだ。多くのお客さんを失望させちゃダメだ」

 2019年7月11日。ヤクルト球団設立50周年を記念したOBによる初のスペシャルマッチ「Swallows DREAM GAME」が神宮で行われた。

 84歳の野村克也監督は足腰に衰えが見られ、車椅子姿で球場に現れていた。ところが4回先頭、自ら代打に立つサプライズ。古田や川崎、真中に支えられ、打席に向かうと、強打者の血が騒いだ。投手・松岡健のスローボール。果敢にバットを振った。日本がコロナ禍に見舞われる前の出来事。雨天にもかかわらず集結した燕党2万7727人のどよめきは、今でも忘れられない。

 しかし、イベントはめでたしめでたしでは終わらなかった。結びでマイクを握った野村さんは、冒頭の言葉で低迷する古巣に喝を入れた。静寂のち、知将の一言に神宮の杜が沸いた。誰もが勝利を欲しているのだと、あらためて感じた。

 「褒めたり優しく接したりすることだけが、愛情じゃないんだよ。厳しく接したり、叱ったりすることも愛情だからな」

 生前、毒のあるボヤキの後にそう語っていたことを思い出す。

 ともに自らの教え子である高津監督と阪神・矢野監督が、継承した英知をいかんなく発揮し、白熱した優勝争いを展開したシーズン。今宵は天国から、横浜の空に舞った愛弟子を、少しだけ羨ましげに眺めているに違いない。(元野村番・加藤弘士=デジタル編集デスク)

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