17歳新星・松生理乃3回転半「絶対に跳ぶ」憧れの真央さんになりたい…北京五輪開幕まで100日

スポーツ報知
松生理乃

 来年2月4日の北京五輪開幕まで、27日であと100日となった。フィギュアスケート女子で今季からシニアに転向した松生(まついけ)理乃(17)=中京大中京高=は、3枠を巡る代表争いに手が届く位置にいる。スポーツ報知のオンラインインタビューに応じ、五輪への思い、元世界女王の浅田真央さん(31)への憧れなどを語った。松生はグランプリ(GP)シリーズ第4戦のNHK杯(11月12~14日、東京・国立代々木競技場)、第6戦のロシア杯(同26~28日・ソチ)に出場する。

 北京五輪シーズンを迎え、松生はシニア転向を決めた。夢舞台を前に下した大きな決断。17歳は特別な思いでシニア1年目に挑戦する。

 「やっぱり五輪っていうのは小さい時から見ていて、すごく憧れの試合でもある。そういうところに自分が出場できるように、目の前にある試合を一つずつ、しっかりこなしていけたらいいなと思っています」

 今季はここまで4試合に出場。シニアのレベルの高さを痛感しつつも、国内大会で得た経験を生かし、いよいよ世界と勝負する。

 「自分が海外のトップクラスの人たちと同じ試合に出て戦えるっていうのはすごく光栄なことだし、自分がどのくらいの位置に入れるかっていうのは、すごい楽しみな部分。緊張せずに自分が練習してきたことをしっかり出せば結果もついてくると思うので、まずはしっかりと練習を積み重ねて、試合で出せるようにしたいなと思います」

 昨季はジュニアながら、NHK杯3位、全日本選手権4位と躍進し、存在感を示した。実は9~12歳が対象の全日本ノービスでは入賞すらなく、ジュニア時代も20年に全日本ジュニアを制するまでは、18年大会8位、19年大会9位と表彰台に乗ることもなかった。9歳から本格的にスケートを始め、初めはジャンプの習得にも苦戦。諦めかけた時もあったが、人一倍の努力で、コツコツと磨き上げてきた。

 「ダブルアクセル(2回転半ジャンプ)は、2年間跳べなくて、自分よりも年下の子や後輩の子がどんどん跳べるようになっていっていた。試合でも下の方にしか行くことができなかったので、すごく悔しかったし、『もう嫌だな』って思ったこともすごいたくさんあった。『やめるのはこれが終わったらにしよう』『あの合宿終わってからにしよう』ってどんどん考えていったら、試合で少し良い結果だったり、合宿がすごく楽しかったりで後回しになっていった。何事もコツコツと真面目にやっていくっていうのを小さい時から大事にしていた。そういう練習をしていると、いつかは絶対、結果が出るって分かっているので、頑張ろうと思ってやっています」

 そして、今季は新たに大きなチャレンジとして、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)をフリーで組み込む。試合での成功はまだないものの、何度失敗しても立ち上がり、果敢に挑戦し続ける。大きな武器をものにできれば、五輪も一気に近づいてくる。

 「やっぱりダブルアクセルとは桁違いに難しい。ダブルアクセルは何本も練習していれば、きっといずれは跳べるようになるジャンプだと思うんですけど、トリプルアクセルになると、理屈とか練習だけでは跳べるようになるのは難しいと思うし、いろいろ研究しないと跳べるようにならないジャンプだと思う。氷上とかで感覚をつかむためにいっぱい練習するのが一番。氷上での練習を増やして、30分ずっとトリプルアクセルだけの時間っていうのを作ってやっています。今季、絶対に跳びたいです」

 多くのトップ選手を指導してきた樋口美穂子コーチ、山田満知子コーチに師事する。かつて両コーチに指導を受けていた18年平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(トヨタ自動車)もトリプルアクセルに苦戦した過去がある。“先輩”の姿には、たくさんの刺激を受けてきた。

 「昌磨くんはトリプルアクセルを跳べるまですごく長かったし、でもその分、『練習の大半をトリプルアクセルにつぎ込んで練習していた』っていうのは聞いていた。やっぱり自分も同じくらいやらないと跳べるようにならないっていうのは、そうだなと思う。自分も昌磨くんくらいやらないとっていうのは先生にも言われていました」

 憧れの選手は元世界女王の浅田真央さん。松生は今、浅田さんもかつて練習を積んだリンクで練習している。浅田さんの代名詞でもあったトリプルアクセルにも挑む日々。14年ソチ五輪のフリーで浅田さんが見せてくれた感動の演技のように、自らも多くの人の心に残るスケーターを目指す。

 「小学4、5年生の頃、バッジテストの会場で浅田さんに会って、『頑張ってね、(ダブル)アクセル難しいけど、頑張って』と声をかけてもらったことがあります。ずっと憧れだった選手に声をかけてもらえたので、すごくうれしかったです。やっぱり(浅田さんの)最後の五輪はすごく感動して。今でも、携帯で『見たいな』って思った時に調べて見ています。どんな時に見ても、いろんないいところを見つけることができるので、ほんとにすごい選手だなって改めて感じる。自分もこういうふうになれたらいいなって思います」(取材・構成=高木 恵、小林 玲花)

 ◆浅田真央さんの2014年ソチ五輪 浅田さん自身、2度目の出場となった五輪で、ショートプログラム(SP)は16位とまさかの出遅れ。メダルが絶望的になりながらも、フリーでシーズン初めてトリプルアクセルを成功させるなど圧巻のノーミス演技で、自己ベストの142・71点をマーク。合計198・22点で6位まで巻き返した。多くのファンの間でも「伝説の4分間」として語り継がれ、浅田さん本人も21年間の現役生活で最高の演技に挙げた。

 ◆取材後記

 約30分という限られた時間の中で、松生の新たな表情をたくさん感じることができた。氷上で見る松生は、正確なジャンプ、細部までこだわり抜かれた美しい表現力が印象的。話していても、柔らかい雰囲気をまとった17歳。だが、リンクを離れた意外な一面を知ることができた。

 足が速い。高校生女子の50メートル走平均が約8秒8に対し、松生は7秒8。ちなみにシャトルランも100回超えで、体力テストは学年トップクラス。「体力的なものはあるかな」と自身も誇れる数値だそうだ。一方で、バスケットボールではシュートを1発では決めることができず、プールは25メートルの約半分くらいで限界が来るそう。「球技は全然だし、水泳も泳げない。だいぶ偏ってると思う」と笑って明かすおちゃめな素顔もあった。(玲)

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