【ヤクルト】セ界制覇に導いた強力ブルペン陣 伊藤智仁コーチが操縦法を磨いた北陸の地…元・番記者が見た

スポーツ報知
セ・リーグ優勝でベンチを飛び出し歓喜するヤクルトナイン(カメラ・竜田 卓)

 誰がこの優勝を予想できただろうか。開幕前に行われた本紙評論家10人による順位予想では、ヤクルトは5位が5人、6位が5人。別に、本紙評論家をディスってるわけではない。借金28でダントツの最下位だった昨季から戦力の上積みはほぼなく、FA流出が懸念された山田、小川、石山の残留が最大の補強だと言われていたのだから、この予想になったのも当然だろう。

 では、何が変わったのか。もちろん、奥川、高橋といった若手投手の一本立ちは大きい。村上は球界を代表する主砲に成長したし、サンタナとオスナの新外国人コンビも地味ながらチームに貢献した。青木、石川、川端といったベテラン陣の奮闘も見逃せない。でも、最大の特徴はシーズン最多ホールド(H)のプロ野球新記録を樹立した清水を中心とした強力ブルペン陣の存在が大きい。

 何しろ、今季は規定投球回に到達する投手がチームに1人もいない(リーグ全体でも7人しかいないが)。2ケタ勝利もいない(ともに26日時点)。この“いびつ”とも言える投手陣で奮闘する姿を、私は2019年に担当した楽天の戦いぶりに重ね合わせていた。

 この年の楽天は、エース・則本が3月に右肘のクリーニング手術で離脱。ダブルエースの岸も左太もも裏痛とへんとう炎で2度リタイアするなど、則本は5勝、岸は3勝どまり。2ケタ勝利は1人もいなかった(最多は辛島の9勝)。29Hの森原、28Hのブセニッツ、24Hの宋家豪、21Hのハーマンという中継ぎ陣で何とかしのぎ、クローザーの松井につなぐ戦いを繰り広げていた。積み重ねたチーム150Hはプロ野球記録だ(26日時点)。

 そのやりくりをしていたのが、伊藤智仁投手チーフコーチ(当時)。高速スライダーを武器に、かつてヤクルトで鮮烈な輝きを放った伝説右腕は、今季から古巣に復帰して投手コーチを務めている。これは単なる偶然ではないだろう。

 伊藤コーチは19年当時、則本と岸のダブルエースが不在となった時、「おらんもんはしょうがないやないか。おるもんだけでやるしかないやろ。先発は5回3失点で十分や」と、京都弁丸出しで繰り返し言っていた。

 なぜ、それだけハラが据わってるのかを聞いたら、「そんなこと言うてたら、独立リーグで監督なんかできんやろ」との答えが返ってきた。伊藤コーチは17年限りでヤクルトを退団すると、翌18年はBCリーグ・富山で指揮を執った。未熟な若者だらけの北陸の地で磨かれた操縦法が、その後の投手起用法につながったというのだ。

 そういえば、高津監督も12年にBC・新潟で兼任監督を経験している。往年のヤクルト黄金期を知る両者がタッグを組み、“弱者の兵法”でつかみとったリーグV。きっと、天国の野村監督も喜んでいるに違いない。(09年ヤクルト、19年楽天担当・片岡泰彦)

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