政府は26日、2021年度の文化勲章をスポーツ振興の長嶋茂雄(85)=巨人軍終身名誉監督=、ノーベル物理学賞に決まった気象学・気候学の真鍋淑郎(90)、歌舞伎の尾上菊五郎(79)、分子生物学の岡崎恒子(88)、短歌の岡野弘彦(97)、文化人類学の川田順造(87)、洋画の絹谷幸二(78)、数学の森重文(70)の各氏と、20日に87歳で死去したバレエの牧阿佐美氏の9人に贈ることを決めた。
プロ野球のスーパースターとして巨人で活躍した長嶋さんは、代表監督として2004年アテネ五輪出場に導くなど、野球界の普及発展に大きく貢献。スポーツ界からの選出は、水泳の故古橋広之進さんに続き、野球界では初めて。「歴代のプロ野球選手の中では初めてと聞いて大変栄誉に思います。皆さんのおかげでいただけたということは非常にうれしい気持ちです。野球を一生懸命やってきて、本当に良かったと思っています」と感謝と喜びを口にした。
受賞理由の一つとして、今夏の東京五輪を盛り上げた点も評価された。開会式の聖火リレーに参加。脳梗塞を患った影響で右半身にまひが残るが、ソフトバンクの王貞治会長とヤンキースGM特別アドバイザーの松井秀喜氏とともに、一歩一歩、力強く歩んで聖火をつないだ。「色んな方のご尽力で、東京でオリンピックをできたことは本当にうれしく思います。昭和39年に始まったスポーツの祭典が2度日本で開催されたこと自体が素晴らしいこと。世界に日本の素晴らしさをお届けできたと思います」と振り返った。
野球を愛し、スポーツを愛するミスターが何より大事にしてきたのは、応援してくれる人々。「試合に勝つことでファンは楽しんでくれるし、ファンが喜ぶプレーを見せることも役割だと思っていました。みなさんが球場に来てくれることが選手のやりがいになる。野球を一生懸命やってきたことでファンの方も振り向いてくれたと思っています」と改めてファンへの感謝を語った。