箱根駅伝初出場を決めた駿河台大の31歳「中学校教師」ランナー今井隆生が本戦への決意と復職後への思いを明かす

駿河台大の箱根駅伝初出場を伝えるスポーツ報知に目を通す31歳の「中学教師」ランナー今井隆生
駿河台大の箱根駅伝初出場を伝えるスポーツ報知に目を通す31歳の「中学教師」ランナー今井隆生

 第98回箱根駅伝予選会(10月23日、東京・立川市)で8位通過し、悲願の本戦初出場を決めた駿河台大の31歳「中学校教師ランナー」今井隆生(4年)が歓喜から一夜明けた24日、埼玉・飯能市の選手寮で、本戦への決意と来春の復職への思いなどを明かした。

 埼玉県の中学校体育教師だった今井は昨年4月「自己啓発等休業」制度を利用し、心理学部3年に編入学した。「担任クラスの中で問題を抱えた生徒がいましたが、力になってあげられなかった。もっと生徒に寄り添える先生になりたいと思った」今井は学業に励む一方で、自身の中学生時代からの夢だった箱根駅伝出場を目指し、駅伝部で10歳ほど年下のチームメートと練習に打ち込んだ。

 ハーフマラソン(21・0975キロ)を一斉スタートし、各校上位10人の合計タイムで競う予選会。「31歳ながら、この1年でチームで最も成長した。もし、駿河台大が予選会で負けたら、駿河台大から(日本人チーム最上位で)学生連合チームに行くのは今井だと思っていました」と徳本一善監督が言うほど、今井は力をつけていたが、前日は本来の力を発揮できず、1時間5分53秒で全体205位、チーム10位と苦戦した。

 「前日、立川に前泊しましたが、全然、眠れなかった。スタート前に握手を求めてきた徳本監督の目が潤んでいるのを見たら、気持ちが入りすぎて、プレッシャーを感じてしまいました。絶対に失敗にできない、という気持ちが強すぎた。チームメートを助けない立場なのに助けられた。まだまだ未熟者です」と31歳の今井は反省しながら話した。

 2012年に徳本監督が就任した当初、駿河台大駅伝チームは「酒、たばこは当たり前。漫画みたいな世界でした」(徳本監督)。しかし、今では規律正しいチームに生まれ変わった。「炭酸ジュースを一本でも飲むと、周囲のチームメートが注意する雰囲気です」と指揮官は言う。初の箱根駅伝出場を決めた記念すべき日の夜も祝杯を挙げることなく、普段通りに午後10時には就寝し、体を休めた。出場選手はこの日、静養に努め、予選会に出場しなかった選手は東海大競技会に参加。すでに箱根駅伝本戦に向けて走り出した。

 今井は「箱根駅伝本番は失うものは何もありません。予選会の経験を生かし、プレッシャーを力に変えて思い切り走りたい。運営管理車の徳本監督から、どんな言葉をかけてもらえるか、楽しみです」と新春の大舞台に向けて、意欲を示した。

 快挙を成し遂げた反響は大きい。前日、今井が予選会のハーフマラソンを走り終えた後、スマートフォンを確認した時点ですでに役50件のLINEやショートメールなどが届いていたという。教師時代の同僚の先生や、その同僚の先生を通じて教え子からも多くの祝福があったという。「ありがたいことです。今、返信しているところです」と今井は笑顔を見せた。

 「上司や同期の先生方から『貴重な経験を生徒に伝えてほしい』というメッセージを多くいただいた。その期待に応えたい」。来春の教師復職後を見据え「先生」の顔になって話した。新春の第98回箱根駅伝まで、あと約2か月。今井は「選手」として全力を尽くす覚悟だ。

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請