【仙ペン】敗れざる亀井善行

スポーツ報知

◆JERAセ・リーグ 巨人11―1ヤクルト(23日・東京ドーム)

 「本拠地東京ドーム最終戦、滞りなく終了することができました」―。原監督のあいさつに聞き入ってしまった。相変わらず、この人の言葉力はすごい。

 長年、場内アナウンスを担当した山中美和子さんへの感謝のコメントが素晴らしい。「彼女の声から試合が始まり、そして試合が終わります」。震えるほどカッコいいな。

 「敗軍の将」らしい神妙さや殊勝さは困ってしまうくらい皆無。ペナントは逃したけれど「スピーチ・オブ・ザ・イヤー」の3連覇は決まりだ。ちなみにワーストは五輪組織委員会の会長だった森さんの辞任あいさつか。いや、あれも恨み節満載で面白かった…なんて話はどうでもいい。

 「困った時の亀ちゃん頼み」である。指揮官のこのフレーズこそ、亀井善行という選手のすべてだ。もう他には「何も言えねえ」ですよ。

 ただ「困った時」に誰より困っていたのは当の本人だったかもしれない。いつだって背中に冷たい汗をかき、血の気の引いた顔で打席に立っていた。

 亀井の本領は「人に共感させる力」だと思う。感動も情けなさも、みんなで分かち合えた。そして引退会見でも認めていた折れやすいメンタル。「プロに入って9割は苦しかった」というのはホンネだろう。そこがグッとくるじゃないか。

 亀井の弱さは僕たちの弱さ。だから、どん底で奮い立つ「背番号9」に心がザワザワしてしまう。「命取られる弾」もそう。お前さんは弱い、弱いけど負けない。いつかは俺も…すいません、妄想ポエムでした。

 そんなわけで土壇場でCS出場も確定。亀井のサヨナラ本塁打で始まったシーズンはサヨナラメモリアルで幕を…とはいかない。まだエンドマークには早過ぎる。11月も熱くなるぞ。

 それにしても巨人一筋17年か。簡単に語り尽くせるワケがない。だから、お別れスピーチの言葉は選びに選び抜いたものだったはずだ。それが「聖弥、アタマ使え…」。

 分かるなあ。優しい巨人ファンが思っていても口にはできなかったこと。よくぞ言ってくれた。ここでも困った時の亀ちゃんだ。

巨人

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