宮原知子 ロングインタビュー「4年に1度の舞台で演じる喜びをもう一度」…北京五輪シーズン開幕に向けて

スポーツ報知
北京五輪シーズンへの思いを語った宮原知子(10月9日の東京選手権優勝より=カメラ・矢口 亨)

 北京五輪シーズンはGPシリーズ第1戦のスケートアメリカ(22~24日、ラスベガス)から本格的に幕を開ける。開幕を前に、女子の宮原知子(木下グループ)が、スポーツ報知のオンライン取材に応じた。以下にインタビュー完全版を収録。(聞き手=高木 恵、小林 玲花)

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 北京五輪シーズンのGPシリーズが、いよいよ幕を開ける。宮原は第1戦のアメリカ大会、第3戦のイタリア大会に出場。今季を占う大事な国際大会となる。

 「とにかく伸び伸びした演技をすることが目標。もちろんいい演技はしたいんですけど、心から楽しむってことを実現させたいと思っています」

 初出場の18年平昌五輪は、左股関節の疲労骨折を乗り越え、4位入賞を果たした。4年に1度の舞台で演じる喜びを経験したからこそ、2度目の北京五輪出場へ、より一層強い思いを抱く。

 「本当に自分が五輪行ったのかなって、まだ夢の中の世界みたいな気持ちもあるので、すごく複雑です。五輪の楽しさ、盛り上がった雰囲気を味わって知っているって部分では、やっぱりもう一回あそこに行きたいって気持ちは、すごく強いかなと思います」

 勝負の年に選んだプログラムは、SP「小雀に捧げる歌」、フリー「トスカ」。SPは18―19年シーズンに滑っており、フリーは昨季からの継続となった。体にしみ込んだ思い入れのある曲で、大舞台へと挑む。

 「五輪シーズンというのもあるし、SPは『はじけられる方がいいんじゃないか』と、いろんな先生からアドバイスを受けたので、一番スピードに乗れるものにしました。トスカはすごく大好きなプログラム。去年は2試合しかなくて、滑り込めずに終わってしまった。思い残して終わったしまうこのプログラムがかわいそうというか、もったいなという気持ちが強くて、今季もやりたいって思いました」

 抜群の安定感、技の正確さ、表現の美しさこそが宮原の魅力。氷上での努力はもちろん、幅広くアンテナを張り日々、感性を研ぎ澄ませている。

 「バレエのレッスンを受けたり、行けるときは観劇も行ったりしています。本も最近たくさん読んでいます。『オー・ヘンリーの短編小説』とか『ジキル博士とハイド氏』とか。読んでめちゃくちゃ面白いと思いました」

 世界は、10代の台頭が目覚ましい。平昌五輪からわずか3年で、複数の4回転ジャンプを擁するすさまじい時代となった。23歳となった宮原も今季からトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑戦。貪欲に進化を続ける。

 「回転不足でも、何とか降りられるところにもって来るまでもすごく時間がかかりましたし、いろいろ試行錯誤も必要なんですけど、どんどん感覚が身になってくるというのを実感できた。すごくいい経験をしているなと思っていました。自分も少しでもそういう(4回転を跳ぶ)選手たちに混じって戦う、そう思えるだけでなんかワクワクします。今までずっと同じ構成なので、今は挑戦したい気持ちが強いです」

 20年3月世界選手権がコロナ禍で中止になってから、宮原が練習拠点とするカナダもロックダウンになった。20年12月の全日本選手権まで帰国できず。リンクも閉鎖されるなど、思わぬシーズンとなったが、仲間と試行錯誤し、励まし合いながら乗り越えた。

 「2か月くらい氷にのれなかったです。けがをして休んでいた時期よりも長くのれなかった。とにかく体をなまらせないように動くことと、スケートのイメージを持って、ある程度のイメージトレーニングも必要かなとか、いろいろなことを考えながら過ごしていました。当時、カナダに残っていたメンバーが、ペアの龍一君、璃来ちゃん、ダンスの小松原さんたちで、『どうする?』ってオンラインで集まってしゃべっていました」

 靴を履いて滑るという感覚を鈍らせないため思いついたのがローラースケート。宮原も思いきって購入し、陸上で滑りながらトレーニングしたという。

 「みんなで相談して、買うことにしました。ローラースケートはしたことなかったので、最初はめちゃくちゃ初心者で全然滑れなかったんですけど、毎日ちょっとずつのっているうちに、意外とすぐなじんで。前向きのクロスとかできるようになりました。氷上で生かされたことは全くないです(笑い)。ただ、陸でちょっとは滑った感覚を味わえたって意味では良かったかもしれない。最初(2か月ぶりに)氷にのったときは、氷の上をエッジで歩くみたいな感覚で、全然滑らなかったです」

 23歳になり、自分の体についてもより向き合うようになり、ケアに時間をかけることも増えたという。

 「食べ物に関しては、なるべく3食栄養バランスを考えて、あとは練習量によって補食を入れるようにしています。体のケアは、やっぱり10代の時に比べると陸でのトレーニングが少しずつ変わっているのもあるんですけど、疲れが取れにくかったりとか筋肉痛になりやすかったり。ストレッチは絶対に寝る前にしっかりして、マッサージやケアを2週間に1回から1週間に2回、『疲れたなあ』って思った時は必ず行くようにしています」

 ―この夏、日本では東京五輪が開催された。宮原にとっても大きな刺激を受けた大会になったという。

 「いつも本当に他のスポーツを見ることがないんですけれども、今回はめちゃくちゃたくさん見て。ひとつ選べないです。卓球も体操もバスケも水泳も柔道も本当にずっと見ていました。今回は1年延期と言うこともあったので、どの選手を見ても、それぞれが必要なことや、自分でやらないといけないこと、自分に対して向き合って、もう全てやり切って五輪に来たんだなっていうのすごく感じた。その心の強さとか、あとはやり切ったって言う達成感をすごく感じました」

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