高梨沙羅、北京イヤーで5連覇発進…”男子並み”低いゲートでK点越え「夢がかなった」

スポーツ報知
新デザインのヘルメットで初めて大会を飛んだ高梨沙羅(カメラ・川上 大志)

◆スキージャンプ ▽全日本選手権(22日、札幌市・宮の森ジャンプ競技場)

 女子は18年平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(25)=クラレ=が90・5メートルを2本そろえ、合計236・1点で5連覇した。1回目は出場35選手で最も低いゲートから出ても、好飛躍の目安となるK点を50センチ上回る力を示し、北京五輪イヤーの幕開けを白星で飾った。男子は、小林陵侑(24)=土屋ホーム=が92メートル、97メートルの合計255・8点で初優勝。葛西紀明(49)=同=は合計191・9点の22位だった。

 すごみが詰まっていた。1回目、沙羅は低い6番ゲートから高く飛び、K点(90メートル)先まで粘った。「いい内容をそろえたつもり。やるべきことはできた」。6番は本来、男子選手が使うレベルで、今大会の女子で使ったのは沙羅だけ。「男子は、こんなところから出ているんだって。すごく良い経験をさせてもらった」。5連覇の結果以上に、新鮮で内容の濃い飛躍だった。

 ゲートの高低は、助走速度に直結する。実際、沙羅の1回目助走は全選手で最も遅い時速80・1キロ。遅ければ、本来飛距離は落ちる。でも、飛べた。そこに、強みがある。今夏は、空中姿勢の改善に注力。スキー板を無駄なく空中で進ませる飛型を丁寧につくり上げたから、有利な向かい風も生かせて飛距離が伸びた。五輪イヤーの開幕初戦。試行錯誤の手応えが深まったのが、何よりの収穫だ。「やりたいことが試合で再現できるのは、頭と体がリンクしているから。いい感じで来ている実感がある」と認めた。

 6季前の15~16年。沙羅は勝ちまくった。今回と同じ宮の森開催のW杯も2連勝。ライバルのイラシュコ(オーストリア)が「アンドロイド(人造人間)なんじゃないか」と脱帽するほど、絶対的だった。それでも、体格の勝る男子と同条件で戦えるレベルを理想に、鍛錬を続けた。あれから6年。低いゲートは高い技術の結晶だ。“男子並み”でK点を越えた沙羅は「夢がかなった」と無邪気に喜んだ。

 来年2月の北京五輪へ、最高のスタートを切った。「成長した姿を見てもらえる五輪にしたい」。さらに強さを増した今なら、4年に1度の頂にもきっと手が届く。(細野 友司)

 ◆ジャンプのスタートゲート 助走前に選手が腰掛けるスタート位置。1番から順に下から上へ番号が振られており、風などの条件を踏まえて基準のゲートが設定される。有利な向かい風が強まると飛びすぎて危険なため、運営側が風の強弱に選手の実力を加味して試合中に上下させる。ゲートが高くなれば助走速度が上がる(=有利)ので減点。低ければ下がる(=不利)ので加点される。1回目の基準ゲートは13番。3.5メートル低い6番から飛んだ沙羅は、24.5点の加点を得た。

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