選ばれし者の恍惚と不安…「キングオブコント」準優勝「ザ・マミィ」に聞いたブレークの意味

スポーツ報知
文化放送「カラフルオセロ」でラジオパーソナリティーデビューを飾った「ザ・マミィ」の林田洋平(左)と酒井貴士

 浮き沈みの激しい芸能界。テレビ画面を彩っていた人気者が次の日には、あっという間に消えていく。そんな中、まさに輝き始めたばかりのスターだけが持つ太陽のような明るさを見せつけられる時間があった。

 19日、東京・浜松町の文化放送で行われた斉藤清人社長の定例会見。ゲストとして登場したのが、9月28日からスタートした同局「カラフルオセロ」(火曜~木曜・午後7時)の火曜日を担当。ラジオパーソナリティー・デビューを飾ったばかりのお笑いコンビ「ザ・マミィ」の林田洋平(29)と酒井貴士(30)だった。

 4回目の放送を終えたばかりの番組について、「主婦の方とか包丁をトントンやっている時間に聞いてらっしゃる方もいるかなと。息子も頑張っているなという感じで聞いてもらえたら。『キングオブコント』もそうですけど、僕らが育っていく様を見守っていただけたらと思います」と真剣な表情で話した酒井。

 そう、今月5日に生放送されたTBS系「キングオブコント」が2人の芸人人生を一変させた。

 「街でよく見かけるヤバイおじさんと純粋な若者の交流」、「会社の社長と部下の半沢直樹もどきのドラマごっこ」という2本のネタで爆笑を誘い、過去最高得点をたたき出した「空気階段」に次ぐ準優勝。ギャンブル好きのクズキャラでプライベートでも多額の借金を抱えていることを公言している酒井と医師の家庭に生まれ、筑波大生物資源学類で学んだインテリ芸人・林田とのコンビが紡ぎ出す社会的弱者にまで目を向けた哀愁漂うコントに私も魅了された。

 だから、マスクをして神妙な表情で座っている2人に聞いてみた。

 「『キングオブコント』準優勝からちょうど2週間。自身を取り巻く環境は変わりましたか」―。

 深々と頭を下げた後、こちらを見つめた林田は「街を歩いていて、気づかれる頻度が格段に上がりました。酒井と違って、僕は常に街に100人いるという外見なのに気づかれるようになって―。営業で初めて大分に行かせてもらって、僕たちが出て来たらドッと湧く。まるでスターみたいな。夢のある世界ですね~」と周囲の景色の激変ぶりを明かした。

 酒井も「コンビニに寄った時に『ラジオ、聞いてます』と言われて。『キングオブコント』きっかけで聞いていただいているみたいです」と今度も真面目そのものの表情で答えた。

 重ねて、「ブレークしたなって感じですか?」と聞くと、林田は苦笑して「これからです。ちょっと、気づかれて舞い上がっている感じです」と穏やかな表情で答えてくれた。

 思えば、30年以上の記者生活で様々な俳優、タレントたちに「ブレークした実感は?」と聞き続けてきた。その時に旬を迎えていた多くのスターが照れ笑いを浮かべながら「実感ないです」、「まだまだです」と答えてくれたことを昨日のことのように覚えている。

 質問を投げかけた取材対象の多くが一線の舞台から消えてしまった反面、芸能界のど真ん中で輝き続ける大物となった人もいる。

 この日、あくまで謙虚な表情で「星の数ほどいる芸人さんの中で僕らを選んでくれたのはなんでなんだろうと。僕は自分のことをずっとクズだと言っていたんですけど、星くずだったのかな。何か光るものを見つけてもらえたのかな」とつぶやいた酒井は「僕はラジオは不慣れですけど、実家に帰った時に親が毎週、聞いているのがうれしくて。ファミリー層にも聞いてもらえる番組をやりたいです」と目を輝かせた。

 「4回(放送を)やっちゃった後に言うのもなんですけど、下ネタも言っちゃったり、苦戦しています。でも、2時間の生放送って芸人にとってはパワーワードで一瞬、信じられなかった。めちゃくちゃ嬉しかったです」とオファーの際の喜びを振り返った林田。

 きれい事を書くつもりはまったくないが、自分たちの番組を持てたことの喜びを素直に明かし、「キングオブコント」で一夜にしてシンデレラ的存在となったことへの戸惑いも赤裸々に語った2人のまっすぐな人柄に私は魅了された。

 コンビ結成からわずか3年の「ザ・マミィ」。お笑いファンの間では、とっくに人気者だった2人が、たった一人のリスナーにもそっと寄り添う媒体・ラジオという活躍の場を得て、さらなる成長を遂げ、スターの階段を昇っていく―。そんな芸能界ドリームをこそ、私は見てみたい。(記者コラム・中村 健吾)

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